本日は、
「GAFAMへどれくらい投資するか」
これについて、考えてみたいと思います。
GAFAMへの投資比率が高いQQQは、高いパフォーマンスを発揮しています。
これに魅力を感じて投資する方もいらっしゃると思いますが、
今一度、「GAFAMへ投資をする」ということ自体が、
何を意味するのかを考える一助にしていただければと思います。
このテーマを考えるうえで重要なキーワードが、2つございます。
それは、
- 構造的な強さ
- 市場サイクル
この2つです。
結論としては、
GAFAMへの投資は、「構造的な強さ」と「市場サイクル」のどちらを強く信じるか、
これによって決まってくると考えます。
構造的な強さ
Amazonの落日を想像できるか
ここで言う構造的な強さとは、
GAFAMの地位は、構造的に簡単には覆らないようになっている
ということです。
例えばAmazon。
皆さん、例えば今日明日にポッと出てきた新参者が、
Amazonに取って代わる未来を想像できるでしょうか。
Amazonは幅広い品揃えと強固な物流網の構築により、
「Amazonならどんなものでも、即日配送してくれる」
という顧客価値を提供できるようになりました。
しかも、年会費を払えばAmazonVideoやAmazonMusicなどの、
十分すぎるほどの「おまけ」が付いてくるうえに、送料も無料になります。
さらに、買い物を重ねるごとに私たちの「好み」を覚え、
私たちが気に入りそうな商品を提案してくれるようになります。
私も、欲しい本の続編を探す手間が省けて助かっています。
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つまり、
- 他に代替可能なサービスが見当たらなく、
- 仮にあっても顧客にとってのスイッチングコストが高い
こうした理想的な環境を構築できているわけです。
これは、実質的な参入障壁と言えるでしょう。
実際に、Amazonの米国におけるeコマース市場におけるシェアは、
BoAの推計で44%となっています。
ほぼ半分ですよ?
もちろん、彼らも課題を抱えています。
Amazonも労使問題が話題になりましたね。
しかし、
「では、1年後、3年後、5年後にAmazonが没落しているか?」
このように考えた時に、そこまで深刻な問題を抱えていると言えるでしょうか。
ネットで彼らの弱点を探せばいくらでも見つかると思いますが、
それと同等か、それ以上に、彼らの繁栄が長く続く”証拠”が見つかるのではないでしょうか。
クラッシュ時のインパクトは大きい
一方で、2000年代のハイテク銘柄のクラッシュも無視できません。
ITバブル、リーマンショック時にハイテク銘柄は大暴落しました。
ハイテクに限らず、
一般的にグロース、モメンタムといった銘柄は暴落時のインパクトが大きい傾向にあるようです。
グロース銘柄は、(たとえ足元がド赤字でも)将来の成長が評価されて、
株価が上がっていきます。
ですから、その成長の期待が剥落したとき、
期待をドライバーにして上がった分だけ、一気に下がるわけです。
先ほどのような「当面の繁栄の確からしさ」はあるものの、
「もしも」が実現したときの恐怖も考慮しなければならなそうです。
サイクル性
サイクル性とは、
「市場は上下動を繰り返す」
「永遠に1つのテーマが持て囃され続けることはない」
といった考え方です。
この考え方によると、現在の「ハイテク無双」が永遠に続くことはない、
ということになるでしょう。
この考え方は、私の好きなハワード・マークスが重要視しているものです。
どれくらい重要視しているかというと、このテーマで本を書いてしまうほどです。
ちなみに、ハワード・マークスは日本の「無常観」にも造詣が深かったようです。
Financial Pointer様の記事から、引用させていただきます。
基本的には、永遠に続かないものを言ったものだ。
変化する本質、制御の難しさ、川は曲げられない。
これが私に、制御しきれない、知識の外にあるものが存在すること、それに効果的に対処するカギを教えてくれた。
大型グロースの繁栄の時代は長過ぎる?
実際、ここ10年の大型グロースの繁栄は長過ぎるようにも思えます。
次の図は、Portfolio Visualizerで米国株の「大型グロース」「小型バリュー」の年間リターンを比較したものです。
データ期間は、1972年~2020年4月現在までです。
1つ目の図は、両者のリターンを単純に並べています。
2つ目の図は、「小型バリュー」から、「大型グロース」のリターンを引いています。
つまり、「小型バリューが大型グロースに対して、どれだけ超過的なリターンを得らえたか」ということを示しています。
2つ目の図を見ていただくと分かりやすいと思います。
この10年、ほぼずっと小型バリューは大型グロースに劣後し続けています。
これを見て、
「さすがに長すぎるんじゃない?」
「そろそろ、小型バリューが評価されてリターン上がるんじゃない?」
このように考えても罪はありませんでしょう?
小型やバリューが上がるのは〇年後?
しかし、ハワード・マークスも「忍耐が必要」と言っています。
確かに、いつかはまた「小型」「バリュー」といったファクターが評価されるかもしれません。
しかし、それが1年後か、5年後か、さらに10年待たなければいけないのか、
それは誰にも分りません。
「長期投資家」を自認される方も多いと思いますが、
それでも「10年の機会損失」は長過ぎると感じるのではないでしょうか。
偉大な投資家は非常に長い時間軸で投資をしているように見えます。
一方で、私のような凡人は、彼らと同じ時間軸で投資をすることができるでしょうか。
結論:「程度」と「覚悟」の問題
どちらをどの程度信じるか、という問題
もし、GAFAMの地位が構造的に揺るがないと信じるならば、
彼らへの投資比率を高めるべきでしょう。
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一方で、市場サイクルの移り変わりを信じるならば、
反対のファクター(小型・バリュー)などに投資するべきでしょう。
いささか単純な二元論ですが、構図としてはこういったことだと思います。
そして、あとは「どちらに、どれくらい」という程度の話でしょう。
片方に肩入れすればするほど、当たったときにリターンも大きくなります。
そして、その逆も然りで、「当たった人たち」を指をくわえて眺めることになるかもしれません。
私自身、この点に自覚的でありたいと考えております。
- 自分が何を信じて、
- 何に投資をしたのか、
この点をはっきりさせておきませんと、
後で望まぬ結果になったときに、反省さえできません。
考え自体が拙かったとしても、
きちんと、反対の結果になることも覚悟したうえで、
投資に臨みたいと考えております。
できるだけ「賭けない」という選択肢もある
もちろん、「どちらか一方」という選択肢だけではありません。
できるだけ、「中庸」を目指すという選択肢もあります。
「当たった」ときの爆発的なリターンよりも、
より控えめながらも安定したリターンを重視する、、という考え方です。
GAFAMの成長力は取り込みたいけど、あまりに依存しすぎるのも怖い、、
そんな考え方ですね。
この路線を採る場合、現在の自分のポートフォリオを眺めながら、
不足しているファクターやセクターを等を勘案しながら、
その中でGAFAMの比率も調整していく、、といったことを考えるのかなぁ、と思います。
個人的には、こちらの方が性に合っているなぁと思います。
この辺りは、各人の投資の目的や性格に合ったものを選びたいですね。
そのほうが、結果的に長く市場で生き残っていけると、私は信じております。
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この問題に関する私自身の選択も、記事にしております。
構造問題の一例として、
参入障壁がガバガバだとどうなってしまうか、という記事も書いております。