ちょっと目に留まった記事がありました。
本日は、これに関する考察と一緒に紹介したいと思います。
積立投資は「ほったらかし」より「利益確定」したほうがいい?
こちらの記事の主張は概ね以下の通りです。
- 積立投資には弱点がある。
- それは、出口時点で暴落したらリターンが下がること。
- したがって、ある程度の利益が出たら利確をした方がいい。
株クラでは「ほったらかし」の方がいいという意見を多く目にしていたので、
「なかなか珍しい意見だなぁ」
と感じました。
はたして、
- 「ほったらかし」で淡々と積み立てをするのと、
- タイミングを見て「利確」をするのと、
どちらの方がいいのでしょうか?
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インベスターリターンの実績を見てみよう
こういう時は、過去のデータを見て考えた方がいいでしょう。
というわけで、次のような考え方でデータを漁ってみました。
- ほったらかしで「ガチホ」⇒ 時間加重収益率に近いと考える
- タイミングを見て「利確」⇒ 金額加重収益率に近いと考える
- いくつかの投資信託で両者を比較して、どちらが高いかを確認する。
コロナショックで株価も下がっています。
図らずも「出口時点で暴落」が再現されていますので、ちょうどいいでしょう。
ちなみに、時間加重収益率・金額加重収益率については、
こちらの過去記事でも扱っています。
解説部分だけ引用しますと、、
極めてざっくり申しますと、
- 時間加重収益率:その金融商品をずっと持ち続けた場合のリターン
- 金額加重収益率:投資家の売買行動まで考慮して算出されたリターン
となります。
金額加重収益率は、IRRといった方がピンとくる方がいらっしゃるかもしれませんね。
要は、
金額加重収益率は、「高値買い安値売り」をする人が増えると小さくなり、
そのまた逆も然りといったものです。別名インベスターリターンなどと言われます。
投資家の実際の行動を反映したリターン指標と言えましょうか。
といった感じです。
金額加重収益率(インベスターリターン)は、
平均的な投資家が「タイミングを見て利益確定」などの売買行動をした結果、と見做して考えることにします。
投資信託はモーニングスターの純資産ランキング上位先の中から選びました。
- TOPIX連動型上場投資信託
- ニッセイ 外国株式インデックスファンド
- ひふみプラス
TOPIX連動、MSCIコクサイインデックス連動、最後はおまけでアクティブファンドですね。
3つの投資信託のインベスターリターンは?
結果は以下の通りです。
TOPIX連動型上場投資信託
まずは、国内株式市場のインデックスファンドで運用したら、、という想定です。
インベスターリターンが金額加重収益率、
トータルリターンが時間加重収益率ですね。
期間別の数字が出てますので、なるべく長期のものを見たいと思います。
3年~10年では、いずれもインベスターリターンの方が低いですね。
設定来(2001年~)は、ほぼ同じといったところでしょうか。
ニッセイ 外国株式インデックスファンド
次は、国際株式市場のインデックスファンドで運用したら、、という想定です。
こちらは、
- 2年、設定来(2013年~)はトータルリターンの方が低い
- 5年はほぼ同じ
といった結果です。
ひふみプラス
最後に、国内株式市場のアクティブファンドです。
これは、、一番極端ですね。
全期間を通じて、インベスターリターンが低くなっています。
ひふみは資金残高は伸びる一方で、パフォーマンスは低下していきましたから、
そのあたりの動きが反映されているのでしょう。
逆に言えば、設定来からガチホしていた方は年率18%ものリターンを得られたわけですね。。おめでとうございます。
結果は、、?
というわけで、ざっくりと以下のような結果でした。
- 3年超の期間でインベスターリターン・トータルリターンを比較すると、
- 良くてほぼ同じ水準で、
- 大体はインベスターリターンのほうが低い
これは結局、
「投資家の売買行動がリターンに悪影響を及ぼしている」
このように解釈できるのではないでしょうか。
ただし、これはあくまで「平均的な」投資家の行動を反映した結果です。
ですので、もっとうまくやれる方もいるでしょう。
おそらく、そういった方は積立投資をせずにトレードで稼がれた方が、
才能の有効利用かと思いますが、、
自分で調べて、自分で考えるのも大事
というわけで、
「やっぱりほったらかしのほうが、結果的にいいっぽいなぁ」と思える結果でした。
今回お示ししたのは、あくまで過去のデータに基づく平均的な結果です。
将来における個人の行動は、また別の話です。
人の意見も参考にしつつ、自分でも調べて、
「過去はどうだったのだろうか」
「自分には、将来にはどの程度あてはまるのだろうか」
といったことを考えるのは重要だろうと思います。
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投資家行動については、こちらでも紹介しています。