どうも。くじらです。
「運と投資」というテーマで、思うことをつらつらと書いてまいりたいと思います。
よろしければ、お付き合いください。
運とは何か?
さて、早速ですが運とは何でしょうか。
色々と考え方はあると思いますが、ここでは以下のように定義してみたいと思います。
「その人の能力ではとらえられない将来の事象」
この定義に拠りますと、人によって運の領域は異なることになります。
例えば、天気予報士とド素人がいたとします。
天気予報士にとって、明日、雨が降るかどうかは高い精度で予測できます。(たぶん)
例えばそれが90%の確率で言い当てられるのなら、運の要素は10%です。
これに対して、ド素人はなんらの予測上の優位性を持ちません。
「降るか降らないか」の2択と考えると的中確率は50%で、運の要素は50%です。
こう考えると、より優れた知識やスキルを持つ人は、運の要素が少なくなるように思います。100%、完全に運の要素を排除できるかどうかは別として。
スポンサーリンク
投資は運か?
では翻って、投資は運でしょうか。
「運の要素があるなら、投資じゃなてく投機だ!」と言う方がいらっしゃいましたら、次のことをご一緒に考えてみましょう。
- 10年後のニュースのヘッドラインを予測できますか?
- 1年後ならわかりますか?
- 1カ月後ならいける?
- 1週間後は?
- …明日はどうです?
どれも無理でしょう。
先日のワクチンのニュースでわかるとおり、マーケットはヘッドラインに非常に敏感に反応します。アルゴ君が元気に頑張っているのでしょうね。。
アルゴにしても、この場合は予測をしているというよりも、人が反応不能な速度で既知(になったばかり)の情報を織り込んでいる、ということだと思いますが。
投資は、この手の運、、ほとんどの人にとって予測不能な要素に左右されてしまいます。
もちろん、これがすべてではなく、ファンダメンタルズやテクニカルにより、予見性が高まることもあると思います。
(この2つを同列に扱うとお怒りになる方が多そうですが)
したがって、投資は運〇%、スキル〇%と考えるのが現実的なのでしょう。
それぞれが〇%なのかは、人によって異なります。
スキルの部分には、ファンダメンタルズやテクニカル等が入るわけです。
ここの能力を高めることによって、先ほどの天気予報士の例のように、私たちは運に左右される領域を小さくすることができます。
しかし、先ほどのニュースの例が示すように、決してこれをゼロにはできないのでしょう。
スポンサーリンク
運の要素を前提とした投資戦略が必要
勝率×資金管理能力
じゃあ、運に左右されることも想定して投資したほうがいいよね、と言う話ですね。
予見可能な世界だけを念頭にシナリオを描いていると、「想定外」の事象が起きた時に足元をすくわれかねません。
1つの考え方としては、
- 「勝率×資金管理能力」が投資成績を左右する
- 勝率は、1回の取引で利益を出せる確率
- 資金管理能力は、「不運」に見舞われても退場しないように、取るリスク量をコントロールする能力
…と言うようなものがあるかなぁと。
ちなみに、仮に勝率100%をたたき出せる超人がいるとしたら、資金管理能力は不要ですね。好きなだけ、レバレッジを掛ければいいと思います。
ファンダメンタルズでもテクニカルでも何でもいいですが、予測精度100%なら思いのままというわけです。
しかし、現実には100%の人などいません。
投資スタイルによると思いますが、50%でも良い方ではないかと思います。
(これでトータルで勝てるかどうかは、平均利益率・損失率次第ですかね)
仮に勝率90%だとしても、リスクの取り方次第では普通に逝きかねません。
例えば、「2回連続で負けなきゃ平気っすよ^^」というくらいのレバレッジを掛けていたとすると、かなり危険ではないでしょうか。
極めて単純化してますが、勝率90%なら負ける確率は10%です。2回連続で負ける確率は、10%×10%で、1%ですね。
「なんだ、、1%か」と思われるかもしれませんが、100回に1回は結構、起きます。
私たちはたまにファンブルを引くし、連続で引くことも、決してないことではない。
ちなみに、かの有名なLTCMはレバレッジを50倍にしていたそうです。正気の沙汰とは思えないですが、、
彼らはモデルを組むときに外れ値を除いていたそうですので、予測能力云々以前の問題すかね。
そんなわけで、勝率を上げる努力をするとともに、運に対処する能力も上げなければならないっすね、ということです。
なので、自分の勝率は把握しておいた方がいいです。
ちなみに、私はUIのドイヒーさに定評のあるSBI証券ですので、証券会社から落としたデータをGoogleスプレッドシートにぶち込んで、式を組んで自動記録できるようにしてます。
これ結構重要な指標なので、デフォルトでわかるようにしてくれませんかねぇ。。
スポンサーリンク
ATRでポートフォリオのリスクを定量化・可視化
あとは、ポートフォリオのリスク量はATR(Average True Range)と言う指標で管理してます。
「ATRなんやねん」は親切な解説がいっぱいあるのでググっていただければいいかと思いますが、要は「日跨ぎ込みの1日で、平均的にどれくらい値が動くんすか」と言う指標です。Trading Viewでも見られます。
例えば、ある銘柄の株価が100ドル、ATRが5ドルだったとします。
で、自分の資金が1,000ドルだったとする。
もし、1日の平均的な値動きを投資総額の1%=10ドルに抑えたい場合、この銘柄は2株までしか買っちゃいかん、ということになります。
i.e. 許容する値動き10ドル ÷ ATR 5ドル = 2株
こういったことをポートフォリオ単位でやることで、「ワイのポートフォリオ、今、どれくらいのリスクとってんねん」ということがわかります。
ここで言うリスクは、1日で投資額の〇%が平均的に変動するのか、、みたいなイメージですね。
このあたりは、「ATR タートルズ」とかのキーワードでググると、方法論を調べられると思います。
この方法の良いところは、ATRというボラティリティの尺度を使うことで、様々な投資商品を「ポートフォリオの〇%変動に換算すると何単位まで買ってOK」という共通の視点で捉えられることです。
レバレッジETFもよく危ないと言われますが、あれはボラティリティを考慮せずにでかいポジションサイズを取るからだと思います。
ただ、ATRはあくまで過去のボラティリティに基づいた指標です。だいたい、14日~20日で計算しているのをよく見ますかね。
なので、ストレス期は2倍以上の値動きをすることもあるので、「ATRベースでポートフォリオの40%~50%のリスクとってます」みたいなのは1発退場あるのでやめた方がいいと思います。
あとは、月並みですが分散ですかね。全部同じ方向にいかなければ、変な話、上述のケースでも助かるかもしれませんから。満身創痍でしょうが。
さらに言えば、ATRは毎日変動しますんで、ボラティリティが高まってきたらポジションサイズを小さくしましょうですかね。なんかよく分からんが負け始めた時も同様。
他に、運の影響を少なくするにはどうするか?
他には、運の影響を少なくするにはどうしたらいいでしょうか。
簡単なのは、マーケットにいる時間を少なくすればいいと思います。
例えば、少なくとも当日中にポジションを閉じるのが最も短い単位ですかね。
短期戦略のメリットは、まさにこれだと思います。
マーケットへの滞在時間が長くなればなるほど、どうしても不確実性の影響を受けてしまいます。
一方で、チャンスがあるときに短時間、マーケットに滞在する戦略であれば、この影響を軽減することができます。
さらに、そのうえで試行回数を増やせるというのも大きなメリットでしょう。
たまに運の影響でトレードがうまくいかなくても、期待値が高くて試行回数さえ確保できれば、大数の法則で結果も安定してきます。戦略自体がしっかりしていれば、ですが。
これに対して、長期投資はどうしても運やら不確実性と呼ばれるものの影響をモロ受けせざるを得ません。
さらに、超長期ガチホは試行回数が1回のみです。ここを、どう考えるか。
長期の積立投資のヒストリカルな勝率は高い。だが、数十年後にならないと、結果はわからない。
一生に一度、やってくる球をじっと見て、確実に打とうと待ち構えていることに似ているように思います。
勝率は統計だが、私たちは1人の人間です。外しちゃいました☆では済まないのです。
誤解を恐れずに言えば、長期投資とは、数十年後に中身を開ける壮大なガチャのように感じます。
これが、「長期投資」と、「短期投資」とか「投機」と呼ばれるものの違いだと、私は認識しています。世間で思われているイメージとは、だいぶ違うのではないでしょうか。
何度でも言いますが、長期投資に否定的なわけではありません。コストパフォーマンスの観点から言えば、長期積立が最強だと信じていますし、実際に近年は高いパフォーマンスを発揮しています。
ただ、結果から意思決定の質を判断するのは違うと思います。
私たちは過去に投資をしているのではなく、未来に投資をしているのです。
自身の抱えるコンテクストや、投資戦略のメリデメを考えたうえで、各人が期待リターンと引き換えに将来に対して負うリスクを引き受けるべきだと思います。
応援クリックいただけますと、励みになります!