資産形成の灯台

投資・投機との関わり方に関する思索を垂れ流すブログ。

【朗報?】ファンドラップなら「高値掴み安値売り」を防げる?

本日は野村総合研究所から、興味深いレポートが出ていたので紹介します。

こちらがそのレポートです。

 

www.nri.com

 

ざっくり申しますと、

「ファンドラップなら個人投資家特有の無駄な売買が防げまっせ!」

という内容です。

(すみません。だいぶ悪意がありますね、、この後、ちゃんと説明します)

 

 

レポートの主張内容

ファンドラップの方が金額加重収益率が高い

このレポートでは、
バランス型投信とファンドラップのリターンを比較しています。

 

ちなみにファンドラップとは、

投資家が運用会社に「どんなアセットクラスの、どんな商品に投資をするか」を一任する商品です。最初に顧客の投資目的等を確認し、それに合致した運用を行う。
運用会社は、その運用管理の対価として報酬を得る、、そういった商品です。
詳しくは、SMBC日興証券のHPをご参照ください。

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大まかに主張をまとめますと、

  1. 金額加重収益率でみるとファンドラップの方が優秀
  2. バランス型投信は投資家が無駄な売買をしてしまうため、リターンが低下する
  3. ファンドラップには無駄な売買を抑制する仕組みが備わっている
  4. したがって、ファンドラップのように投資家の近視眼的な行動を抑制する商品がリターンの低下を食い止めていると言える

以上の内容をもう少し掘り下げてみましょう。

金額加重収益率・時間加重収益率の違い

レポートでは、
金額加重収益率と時間加重収益率という2つのリターンを比べています。

両者の違いについては、FIRE:投資でセミリタイアする九条日記様で詳しく解説されています。

極めてざっくり申しますと、

  1. 時間加重収益率:その金融商品をずっと持ち続けた場合のリターン
  2. 金額加重収益率:投資家の売買行動まで考慮して算出されたリターン

となります。
金額加重収益率は、IRRといった方がピンとくる方がいらっしゃるかもしれませんね。

 

要は、
金額加重収益率は、「高値買い安値売り」をする人が増えると小さくなり、
そのまた逆も然りといったものです。

別名インベスターリターンなどと言われます。
投資家の実際の行動を反映したリターン指標と言えましょうか。

 

ここで先ほどのレポートの主張を思い出してみましょう。

レポート内では以下の図表が掲載されています。

 

f:id:lovegajumaru:20200509171943p:plain

 

ここから読み取れる情報としては、

  1. 時間加重収益率が同程度のバランス型投信・ファンドラップでも、
  2. 金額加重収益率で見た場合、
  3. ファンドラップの方がリターンが高い

という内容です。

さらにファンドラップには、

  1. 投信のように売買手数料ではなく、資産額ベースの管理手数料を収益としている
  2. ライフステージ等の長期的な目線を持ちながら、予実管理をしていく仕組みが備わっている
  3. こうした近視眼的な売買を防ぐ特徴があることから、そうした特徴がない投信よりもリターンが高いのだ

こうした主張をされています。

それよりもコストが気になる

ファンドラップのコストが高過ぎる

ただ、私はこれを読んで、筆者の主張よりも気になることがありました。

それは、

ファンドラップのコスト高すぎじゃね?

ということです。

 

再び先ほどの図表を見てみましょう。

直近10年のファンドラップの収益率を比較した場合、

  1. 時間加重収益率は4.9%
  2. 金額加重収益率のうち、手数料控除前は2.7%
  3. 金額加重収益率のうち、手数料控除後は1.1%

金額加重収益率で見た場合、手数料分が1.6%と読み取れます。

個人的な感想としては高すぎると感じます。

 

見方は人それぞれで、これを「無駄な売買を抑制できるコスト」と捉える人もいるでしょう。「私は意思が弱いから、お任せしたほうがいいわ」という方もいるかと思います。

ただ、「ノーロード型の投信を積立 NISA などで定期購入をする」
こうした方法であれば、コストが掛からない分、より高いリターンが得られるでしょう。

自分自身のリスク許容度を誤った場合、狼狽売りのリスクはあるかもしれませんが、
そうしたリスクを抑える対価としては、高すぎるコストと感じます。

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また、ファンドラップも時間加重収益率に比べて、金額加重収益率(手数料控除前)が、しっかり劣後している点も忘れてはいけないでしょう。

バランス型投資の販売手数料も高すぎる?

もう一つ気になる点が、販売手数料に関する計算の前提条件です。

図表の注書きに、「バランス型投信は販売手数料を上限値で計算している」とあります。

具体的にいくらなのか分かりませんが、
例えば、ある野村のバランスファンドでは最大2.2%の販売手数料を取ると書いてあります。

2.2%ですよ?

もちろん、もっと低い数字で計算されている可能性もありますが、、

 

これを見ると、

「そもそもバランス型投信の計算前提がかなり不利なのでは?」

という気もいたします。

普通に、ノーロードのバランス型投信、ありますからね。

これ以上は追えませんので何とも言えません。

2つの”当たり前の”教訓

色々と気になる点はあるのですが、このレポートから私は2つの教訓を再認識いたしました。

それは、

  1. 長期保有
  2. コスト

この2つの重要性です。

 

バランス型投信にしろファンドラップにしろ、
時間加重収益率よりも金額加重収益率が低くなっています。

つまり、多くの投資家は「高値掴み安値売り」をしているということです。

 

今更ですが、短期的な市況の上下に惑わされず、
継続的に積み立てることが重要だと認識いたしました。

 

そして、これも当然ですが、
「コストは安いに越したことはない」ということです。

「高いコストがリターンに大きな影響を与える」ということを再認識できました。

ちなみに、レポートの最後の方でこうした記述もございました。

 

もっとも業界関係者によると、その積立投資も価格の急激な上昇時などには好ましくないことだが、近視眼的な行動の抑制が難しくなり、利食い売りの増加が見られるという。特にノーロード投信では顕著に見られると言う。

 

なんだか、「ノーロード投信があるから近視眼的な利益確定が起きるんだ」とも読めなくもありません。ご真意はわかりませんが。

私個人の感想としては、商品の問題ではなくて投資教育に関する問題だと思います。
もしくは、今まで誰がこうした「近視眼的な考え方」を醸成してきたのか、でしょうか。

筆者の方の人とは少し違った見方かもしれませんが、
個人的に面白いなと思ったレポートでございました。

 

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積立投資の継続については、こちらの記事でもレポートをご紹介しています。

 

www.lighthouse4you.com

 

 

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