今日はSPYDの特徴の整理と、
これからどういった動きをするのか、
景気サイクルの局面ごとの予測を書きたいと思います。
なお、記事の最後に参考にさせて頂いた偉大な先人の方々のブログを掲載しています。
私のブログ見るより、こちらを見て頂いた方が参考になります(笑)
※ 必ずしも私の意見と他のブロガーの方々との意見は同じではありません。為念。
Twitter上でいろいろな議論がありましたが、
こんなにたくさんの方がSPYDについて考えてくださって、
個人的にはうれしい限りです。
この記事の結論は次の通りです。
- SPYDは景気サイクルの回復局面で株価が上がるだろうが、
- 他のETFより回復時期は遅いし、株価上昇も持続しにくい。
- 暴落期には再び、激しい下落に見まわれる可能性が高い。
- それでも、「高配当」を重視する投資家にとっては素晴らしい選択肢の1つだ。
SPYDの特徴
SPYDの特徴は主に2つです。
- S&P500の高配当上位80銘柄への投資
- 均等荷重
まずは1つ目から見ていきましょう。
S&P500の高配当上位80銘柄への投資
SPYDは、S&P500の高配当上位80銘柄に投資します。
こうした戦略を取った結果、SPYDは次の2つのファクターを獲得しました。
- 小型株
- バリュー
これらの特徴は、MSCI が公表している図表からも読み取れます。
出典:ETF.com
https://www.etf.com/SPYD#overview
それぞれの特徴について見ていきましょう。
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小型
SPYDは、 S&P500の中でも小型の株に投資をしています。
この点については、たかにん様のブログで大変わかりやすい分析をされています。
小型株は景気サイクルの回復期に伸びるという特徴を有しています。
以下に引用しているBlackRockの図表でも、
回復期に小型株がパフォーマンスを上げることが示されています。
出典:ETF Strategy.com
https://www.etfstrategy.com/eliminating-that-factor-home-bias-10339/
バリュー
高配当であるとは、すなわち割安で放置されているということです。
さらに、利回り上位80社を選定という特徴によって、
株価が上がった銘柄は、自然とポートフォリオから抜けていくということになります。
i.e. 株価が上昇=配当利回りが低下。年2回のポートフォリオ入替時に外される。
結果として、常に「高配当かつ不人気」の株がポートフォリオに残り続ける、、
という特徴があります。
こうしたバリュー株は小型株と同様に、経済の回復期で伸びていくという特徴があります(上記の図を参照)
現環境下でこの特徴をどう考えるか
現在のインデックス優勢の環境下では、
こうした小型バリュー株は不利との見方もあります。
現在のインデックス投資は、大型グロース株への集中投資の性格が強いためです。
GAFAMを中心とした時価総額の大きい投資先に対して、より多くのお金を注ぐ、、
時価荷重平均とは、そういう仕組みになっています。
そして、時価総額が大きくなったことでさらに多くのお金を集める、、
という、正のサイクルが働きます。
これまで述べてきた「小型」「バリュー」に関する値動きの特徴も、
時期によって再現性が異なります。
特に、上記のようなインデックス優勢の時代では修正が必要かもしれません。
今の状況が将来も必ず続くとは限りませんが、
こうした状況があることは認識しておいた方がいいでしょう。
均等荷重
2つ目の特徴の均等荷重について考えてみましょう。
均等荷重とは、すべての銘柄に対して同じ割合で投資するということです。
この特徴は先ほどの高配当銘柄という特徴と合わせて考える必要があります。
SPYDのポートフォリオに入るような割安な銘柄でも、
昨今のギリアドのように、注目されて株価が伸びることがあります。
しかし、株価が伸びて配当利回りが下がると、
そもそもポートフォリオから外れてしまいます。
また、均等荷重なので一部の株式の成長の恩恵は、限定的にならざるを得ません。
ですから、SPYD自体の株価が継続的に上がるには、「小型」「バリュー」全体が満遍なく上がるような状況が必要なのです。
ちなみに、なぜ、こうしたデメリットを負ってまで均等荷重にしたかというと、
- 時価加重にすると、配当利回りが低下する
- 配当加重にすると、高リスク銘柄への比重が高くなりすぎる
といったことから、
商品設計上は均等荷重がベストと判断したのではないかと、
勝手に想像しています。
景気サイクルごとにどんな動きをするか?
では最後に、景気サイクルごとにどのような動きをするのかについて、
私の考えを述べたいと思います。
各サイクルのイメージは、以下に再掲する図を参考にしてください。
回復期
先に述べた通り、景気サイクルの回復期がSPYDが最も伸びる時期です。
ただし、均等荷重という特徴によって、1株当たりの成長の恩恵は限られます。
従って、ある程度ポートフォリオの中身が一斉に成長するような環境が必要です。
こうした状況の一例として、金がじゃぶじゃぶに余っていて、
本来見向きされないような割安な銘柄にも金が流れる、、というものがあるでしょう。
副作用等の是非は別にして、過剰流動性の時代である今は、
こうしたことが実現しやすいのではないかと考えています。
(もちろん、バブって崩れるのも早そうですが)
拡大期
景気の拡大期には、株価の伸びが鈍化することが予想されます。
これは既に、2017年以降のSPYDの株価で見られた特徴でした。
以下の図の通り、2017年頃から株価が市場平均(S&P500)に逆転され始めます。
その後は、おおよそ横ばいで推移していきます。
(もちろん、その間も配当は確りもらえるわけですが)
この頃から、抜けていく成長銘柄の代わりに、
まだ割安=リスクの高い高配当銘柄が増え始めるのだと思います。
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減速期
景気の減速期は、ポートフォリオにおける高リスクな銘柄の割合が一番高まっている時期と考えられます。
ちょうど2019年後半のような時期でしょう。
この頃にSPYDのポートフォリオにある銘柄は、
景気拡大期を経てもなお割安に放置されている理由がある、ということです。
後退期
景気の後退期の動きは、コロナ・ショックの様子を見れば一目瞭然でしょう。
ポートフォリオのリスクが高まっていたことから、
一気に値が崩れます。
一方で、救いもあります。
それは、減配・無配落ちした銘柄の代わりに、
景気後退期でも配当を続ける企業がポートフォリオに入ってくることです。
これこそ、SPYDの自浄作用と言えるでしょう。
ギリアドのような真に強い企業が入ってきたのも、
景気後退期だからこそなのかもしれません。
そして、また振り出し=景気回復期に戻る、、
というサイクルが続くのでしょう。
それでも私はSPYDを持ち続ける
以上、SPYDの特徴と景気サイクルごとの予想される動きを見てきました。
こうしたことを踏まえても私の思いは変わらず、
やはりSPYDは魅力的だということです。
SPYDの商品設計は、
個別では手を出せない高配当銘柄に手軽かつリスクを抑制して投資をするにはどうしたらいいか
と言う問いへの一つの回答なのだと思います。
ポートフォリオの中身がコロコロ変わったり、
景気後退期に一気に値が崩れるのもある意味で当然なのです。
こうした特徴は、高配当とトレードオフだと理解していれば、
暴落時に変に慌てることもないでしょう。
逆に言えば、今後の景気後退期でも容赦なく暴落することは、
覚悟を決めておかなければならない、ということです。
一方、個人的な思いとしては、できるだけ割安な時に仕込みたいということです。
値動きは荒いのはリスクであるとともに、高い配当利回りを得るチャンスでもあります。
他の銘柄以上に、高配当株投資の基本的な姿勢が求められるのだと思います。
また、弱点を補うためにインデックス投資・大型グロース株への投資も組み合わせてもいいでしょう。
私自身も、インデックス投資を併用しています。
以上はあくまで個人的な見解であり、投資スタイルは人それぞれです。
くれぐれも自己の責任において、銘柄の選択・投資をされることをお願い申し上げます。
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参考にさせて頂いたブログ
みらいあせっと@東北投信様
ファクター分析の観点から、大変理性的な分析をされています。
こちらの記事をきっかけに、ファクター分析について学び始めました。。
りんり@S&P500ETF様
「均等荷重」「小型株」等の観点から中立的な分析をされています。
本記事の内容も、大変参考にさせて頂きました。
そのうえで、自分なりに将来のSPYDの姿を考えさせていただきました。
(私の記事よりも、こちらの記事を見て頂いた方がいいですね(;^_^A)
たかにん様
構成銘柄を様々な切り口で分析されています。
拝見しているブログ様の中で、一番詳細な内容を掲載されていて、
「こういう理由で今回の局面で暴落したのか、、」と感嘆しておりました。