資産形成の灯台

投資・投機との関わり方に関する思索を垂れ流すブログ。

Claude3でターゲットデートファンドのpros/cons比較をしてみた

Anthropicが出しているClaude3というAIがかなりいい感じである。詳しくは以下の記事を見ていただければいいのだが、個人的にはPDFのレポートを読ませるのがめっちゃいい感じ。最大トークン数が20万もあるおかげで、ちゃんと全文を読んで理解した上で答えてくれてる感じがする。

 

www.itmedia.co.jp

 

なんとなくなんだが、GPT 4よりも日本語の受け答えも丁寧な感じもする。この辺の特徴も相まって、論文やレポートを叩き台にして議論をするというのがめちゃくちゃ楽しい。

ただし無料版だと時間あたりのチャット量が制限されるみたいなので、これくらいの性能であれば有料版を使ってもいいと感じた。現在使っているのは3つあるモデルのうち、無料で使える2番目に頭のいいモデルである。

 

 

Claude3に論文要約、商品比較をさせてみる

今回は試しにClaude3に読み込ませたターゲットデートファンドに関する論文をネタにして、ターゲットデートファンドとバランスファンドの比較についてちょっと書いてみたい。ターゲットデートファンドについては、以下のフェデリティ投信の紹介などを参照されたし。

www.fidelity.co.jp

 

まずClaude3に読み込ませたのは以下の論文である。そして、Claude3に要約をさせたものが、以下の通り。

 

AN ANALYSIS OF THE PERFORMANCE OF TARGET DATE FUNDS

https://www.nber.org/system/files/working_papers/w27971/w27971.pdf

はい、このレポートは2010年から2020年までの期間におけるターゲットデートファンド(TDF)の実績を詳細に分析したものです。主な内容は以下の通りです。

  • TDFの資産残高は2000年の80億ドルから2019年には1.4兆ドルへと大幅に増加した。これは401(k)プランでデフォルト投資商品として認められたことが要因。
  • TDFは費用面で二極化しており、約半分が年率0.2%未満の低コストファンド、残りの多くが0.5〜0.7%の高コストファンドである。
  • スタイル分析により、TDFは表向きの通りライフサイクルにあわせてリスク資産の比率を引き下げるグライドパスを実行していることが確認された。
  • 低コストファンドは参照ポートフォリオとほぼ同等のパフォーマンスだが、高コストファンドはアウトパフォームするものとアンダーパフォームするものに二極化していた。
  • 2020年2-3月の株安時に、長期TDFでさえ30-35%の損失を被った一方、リタイア目前のTDFでも20-25%の損失があり、リスク低減が不十分であった。
  • 過去のパフォーマンスは将来のリターンを弱く予測するに過ぎず、低コストファンドの方が期待リターンが高い。
  • TDFの一つ一つに個人の状況を反映できないデメリットがあり、リスク選好に合わせたバランスファンドを選択できる仕組みも検討に値する。

要約すると、TDFは低コストであれば概ね期待通りの運用がなされているが、高コストアクティブ運用には改善の余地が残されており、また一律のグライドパスの限界も指摘されているということになります。

 

リタイア目前でも20%超の損失出てるのは、ちょっと驚いた。リスク落として引退前の最大ドローダウンを抑えるのが売りだと思っていたのだが、、ここはどんなポートフォリオ構成になっているのか気になった。

あと、コスト高いのはパフォーマンス悪いよねとか、過去のパフォーマンスが将来のパフォーマンス保証しないよねとか、このへんは他の投資信託と一緒なんやなぁと思った(こなみかん)

 

実は別途GPTで要約をさせたものも読んでいるのだが、要約の精度自体はGPTともほとんど遜色がなかった。押さえるべき論点が的確に抽出されて、簡潔な表現でまとめられていた。

その上でClaude3の方が自然な日本語だと感じるのだ。特に最後の結論の方の「バランスファンドも検討に値する」みたいな表現は、非常に人間的なものとして感じる。この辺の肌触りみたいなのがなんかいいのだ。

 

次にターゲットデートファンドとバランスファンドのpros/cons分析をしてもらった。一部「ん?」という内容もあるが、こちらも悪くない結果だと思う。個人の細かい選好に対応可能かどうか、という比較をしているのはなかなか良い観点だと思う。

 

【ターゲットデートファンド(TDF)のpros】

自動的にリスク資産比率を調整:

TDFは加入者の年齢に応じて自動的にリスク資産の比率を調整するため、加入者は自分で資産配分を調整する手間が不要です。若年層にはリスク資産比率が高く、リターン獲得を優先し、リタイア前にかけて徐々にリスク資産比率を落とすことで元本確保を図ります。


単純で分かりやすい:

TDFは目標年(リタイア予定年)ごとにファンドが用意されているため、加入者は自分のリタイア時期に合わせて適切なファンドを選択するだけで良く、非常に単純で分かりやすい設計となっています。


手軽な長期分散投資が可能:

TDFは単に株式と債券を組み合わせるだけでなく、さまざまな資産クラス(中小型株、外国株式、不動産など)にも分散投資しています。このように手軽に長期的な資産運用が可能です。


コストが低い(一部):

インデックスファンドを主要投資対象とする低コストのTDFでは、年率0.2%前後の低運用コストが実現できます。

 

【TDFのcons】

個人の状況を無視:

TDFは加入者の年齢しか考慮しておらず、リスク選好度やその他の財産状況などは一切勘案されません。同じ年齢でも適切なリスク資産比率は個人によって大きく異なるはずです。


一律のグライドパスの限界:

TDFでは全ての人に対して同じグライドパス(リスク資産比率の年次推移)が適用されますが、個人の状況に合わない可能性があります。
アクティブ運用の高コストTDFが散見 TDFの中には年率0.6%以上の高運用コストのアクティブ運用型があり、長期に亘るとコストが積み重なり、パフォーマンスを圧迫します。


最終年で完全にリスクをヘッジしない:

リタイア時に100%安全資産に移行するのではなく、一定のリスク資産残されたままです。リタイア後の運用についてはさらなる工夫が必要です。

 

【バランスファンドのpros】

個人のリスク選好に合わせて選択可能:

バランスファンドは一般に5種類程度のリスク度合い(非常に低リスクから非常に高リスク)に分かれており、個人の投資性向に合わせて選択できます。


年齢に捉われない資産配分が可能:

年齢ではなく自らのリスク選好に基づき資産配分を決められるため、年齢に囚われない資産運用が可能です。


長期に渡り同一の資産配分が維持される:

原則として、リスクプロファイルに応じた同一の資産配分が長期に渡り維持されます。
低コストのパッシブ運用が多数 バランスファンドにも低コストのインデックス運用が多数存在します。

 

【バランスファンドのcons】

定期的な資産配分の見直しが必要:

バランスファンドは一定の資産配分を維持するため、定期的に自身のリスク選好を確認し、必要に応じてファンドの入れ替えが必要です。


手動での資産配分調整が必要:

加入者自身で、ライフイベントや資産状況の変化に応じて、適切な資産配分の見直しが求められます。


分かりにくい商品設計: リスク度合いによるファンド分類は分かりにくい側面があり、適切なファンド選択が難しい可能性があります。


手数料が高い商品も存在:

低コストのインデックス運用に加えて、運用コストが年率1%を超える高コスト商品も一部に存在します。


以上が全力でのTDFとバランスファンドの長所短所の分析になります。TDFは加入者にとって手軽で単純なのが大きな長所ですが、個人の事情を無視する点が短所です。一方バランスファンドは個人のリスク選好に合わせられる反面、加入者自身の積極的な関与が必要になるなど、トレードオフの関係にあります。いずれも一長一短があり、加入者の属性に合わせて使い分ける必要があるでしょう。

 

上記とは別に、私自身が思いついた観点としては以下のようなものがある。

 

バランスファンドは資産配分の変更時に課税される:

ターゲットデートファンドは徐々に株式から債券などのリスクが比較的低い資産へシフトをしていくが、ファンドの中で売買が行われるので購入者は課税されない。

一方でバランスファンドは自分の加齢に伴うリスク許容度や生活環境の変化に応じてポートフォリオの中身を変えようとすると、一旦投資信託を売却する必要がある。この際に含み益が出ていると課税される。

年齢に応じて細かくリスクを落としていきたい場合は、ターゲットデートファンドの方がいいかもしれない。

 

ターゲットゲートファンドは暴落後の回復が難しくなるケースがあるかも:

ターゲットデートファンドは引退が近い時期に暴落が起きた場合に、基準価格の回復が難しくなることがあるかもしれないと思った。例えば以下のような条件が揃うと厳しいのではないか。

  • 株式から債券などへの移行が比較的短い期間で行われる
  • 移行期間の直前くらいで暴落に会う
  • 暴落後も機械的なルールに基づいて、株式から債券へ移行する

このような条件下では暴落で価格が下がった株価がそのまま債券に変換されてしまい、その後の株価の上昇による資産価格の回復の恩恵を受けられないのではないか。暴落後の低迷が長引いた場合など、かなりレアケースなような気もするが…

自分でコントロールしたいかどうか

ターゲットデートファンとバランスファンドの比較をしていて思ったのは、結局のところ、「自分でコントロールをしたいかどうか」というところに収斂するのではないかということだ。

 

私のようなタイプは相手にポートフォリオ配分を変えられてしまうというのが非常に気持ち悪く、あまりターゲットデートファンド自体に魅力を感じない。

プロコン比較でも指摘されていた通り、金融商品の選択や運用は、年齢だけが変数ではない。一般的に認識をされている項目(家族構成、収入状況、将来の支出計画などなど…)に加えて、言語化が難しい心理的な側面も多いに関係していると思う。リスク許容度などはよく指摘されているが(一方で適切に測定できているのかという問題はあるが…)、その他にも「自分のことは自分で決めたい」というコントロール感などもあるんじゃないかと思っている。

 

これは逆に自分では決めたくない、「専門家」にお任せしたいというニーズもあるわけで、そういった人たちには一定の需要がある商品ではないかと感じた。

ただ、そういう人たちにとってもターゲットデートファンドは扱いが難しいかもしれない。ポートフォリオの中身はターゲットデートファンドだけではなく、預金やら保険やらもあるはずである。そうしたリスク資産・安全資産などとの配分も決めなければならないわけで、年齢とともに中身が変わっていくターゲットデートファンの方がここに加わるのは、実は結構難しい意思決定なんじゃないかと感じる。

ポートフォリオの中身を全てターゲットデートファンドにすれば、ファンドが「適切」と考えるポートフォリオ構成にはなるはずだが、そういった人は少ないだろう。

そんなわけで雑な結論は、「私にとっては、柔軟性にかける割にあまりメリットがない商品だな」という感想でございました()

 

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