改めてディープシークショックについて自分の認識をまとめておこうかなと。
おそらく今後も似たようなことは起こるんだろうなと思う。内容は違えど、将来を占う上で必要な要素を抽象化して考える材料にできるので、自分なりに整理しておくといい。
と言っても今は、頭のいいモデルがあるので状況整理はそいつに丸投げである。また、その材料も拾ってきたレポートである。自分なりに整理とは一体()
レポートはTwitter を見てて面白いと感じたものを4つ集めてきた。特にオフトピックは、個人的に楽しく聞いてるポッドキャストでお気に入り。米国のスタートアップを中心にした話題であり、本件においても他とは違う視点を提供している。
AI市場の「新局面」が見え始めた、と感じる投資家も多いだろう。DeepSeek-R1の登場は、世界中のマーケットを揺らした。コスト削減と性能向上を両立できたという事実は、これまで米国勢が築いてきた“大規模モデル=高コストこそが絶対優位”という常識に疑問符を投げかける。そして実際、NasdaqやNvidia… pic.twitter.com/LGGZWFltrC
— FabyΔ (@FABYMETAL4) 2025年1月28日
【DeepSeekについて】
— 安野貴博 @ 新刊『1%の革命』が2/6発売予定です! (@takahiroanno) 2025年1月28日
DeepSeek-R1について遅ればせながらリサーチした。
重要な論点はこの辺な気がする
1) GPU需要は変わるのか?
2) ファウンデーションモデルレイヤーはコモディティ化するか?
3) DeepSeek-R1を他プレイヤーがどのように活用するか?
4) DeepSeekはOpenAIに勝てんのか?…
SemianalysisによるDeepSeekの分析がとんでもなく深かったのでまとめました。
— d (@rom13856511) 2025年1月31日
・DeepSeekはここ1週間、ClaudeやPerplexity、Geminiを上回る日次トラフィックを獲得している
・ただしDeepSeek自体は新興企業ではなく、これまであまり注目されなかっただけで、以前からAI界隈では言及していた…
これらをo1くんにぶち込んで、共通点や相違点を整理させて確からしいと思えることを抽出した。内容については、下の方に貼ってあるのでそっちを見てほしい。また、それを元に手持ちの ETF などの将来性も叩き台を作ってもらった。これも貼ってある。
まず言えることは、今回のディープシークショックは長い目で見ればAI 相場にとってグッドニュースだったねと。
レポートでも多く言及されているのは、ジェボンズのパラドックス。エネルギー効率を高めても、逆にユースケースの増加でエネルギー使用量が増えてしまうということ。人類くんは今まで加速度的にエネルギー効率を高めてきたけど、今もエネルギー足りない足りないと騒いでいる。効率が上がると、あれもできるねこれもできるねと、再現ない欲望が湧いてきて色々やっちゃうのが人類くんだね可愛いね。
これは計算リソース(GPU 需要)にも同じことが言える…というより、個人的にはもっとその傾向が強いんじゃねえかと思う。今はまだ技術の黎明期であり、ユースケースを探っている状態。インターネットの例を見ても明らかな通り、社会に実装されていく過程で爆発的にユースケースが増えていく。計算効率が上がって高効率なモデルが「民主化」されれば、また同じことが起こるだろう。いやむしろ、今までに見たことないレベルの普及をするんじゃねえか。だって、今回は知性の発明であり、今までの技術の何よりも応用範囲が広いかもしれないんだから。インターネットの時かそれ以上の、アプリの黄金期が訪れるだろう。
以上の通り、全般的に見ればインフラとアプリ双方にとってさらに普及が加速する土台が整ってきたと言えるんだけど、個別の銘柄の事情はよくわかんない。
NVIDIA 1つにとっても、学習では彼らの GPU が有利でも推論では他の方が有利だとか、そういった話も聞くんだけど、もはや自分には判断しようにも手に負えない。
一般的に言えることは、
- 大手は体力があるので軌道修正の時間が稼げるし、技術の積み上げがあるので、パラダイム変化に対応するためのピボットの成功の芽があるんじゃねえか
- 特にアプリの普及期においては急成長する小型株が出てくるだろうが、ZOOM の時のように大手に潰されるような展開がそこかしこで見られるんじゃねえか
というようなことは考えている。
そう考えると、個別銘柄もいいけど、自分はやっぱり ETF でバスケットで持っておいた方が夜安心してぐっすり眠れるなと感じる。基本的に大手が優位な状況は変わらないので、時価総額荷重でそいつらにウェイトを置きつつ、急成長して上位に食い込む銘柄があれば、その恩恵も享受できる…と言った美味しいところ取りができる…はず。
一方で相変わらず期待値=バリュエーションは高いので、今後も高値圏で揺さぶられることは多々あると思う。そこのところはもう、そのように心得ておくしかないので全受けの深い心で甘受していきたい所存。
あと思ったのは、中長期的に見て世界にとって良いことが起こった時に大騒ぎして悲観的になるのはよくねえなと。大体そういう時は買いと考えて良い、というのが経験則になりそう。その点も、どっかで書いていきたい。
以下、o1くんの出力結果。
o1くんの状況整理
レポート内容の整理
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DeepSeekのモデル性能・技術要素
- MoE(Mixture of Experts)とMLA(Multi-head Latent Attention)によるメモリ効率化・計算効率化
- 推論コスト・トレーニングコストの桁違いの低減
- “$5.6M”というトレーニングコストの計算根拠や実際の総投資額とのギャップ
- 大規模GPU(特にH100, H800)の実態はどうなのか、輸出規制下でも入手しているのか
- 自社データセンターを構築しているか、どの程度のGPUをどのように保有しているか
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“安価・効率的なAIモデル”の出現がもたらす産業・投資インパクト
- 既存の「巨額資金や最先端GPUを使った大規模モデル=最強」という図式への疑問
- AIモデル層のコモディティ化(オープンウェイト化)が進むとき、OpenAIやAnthropicのビジネスモデルはどうなるか
- Nadellaの発言に象徴されるような「Jevonsパラドックス」が、むしろGPU需要を拡大させる可能性
- Nvidia $NVDA やMicrosoft $MSFT、Meta $META、Google $GOOGL など、いわゆる“AIインフラ銘柄”の株価下落と将来的な需要拡大の二面性
- 中国のDeepSeekがモデルを先行して無償/原価に近い価格で提供してしまうことで、他社の高額モデルビジネスが揺らぐリスク
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地政学的リスク・輸出規制と中国企業の立ち位置
- 米国政府のチップ輸出規制があるにもかかわらず、DeepSeekがH100を含め大量のGPUを保有していると噂される
- 中国政府の支援や大手VC・政府系ファンドの大規模投資が、米国式のAIビジネスモデルを脅かすかもしれない
- TikTokの規制問題に類似するかたちで、DeepSeekアプリがデータをどのように扱っているかへの懸念
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オープンソースAI vs. クローズドAIの行方
- MetaのLlama系、Mistralなどがオープンウェイトで存在感を示す一方、DeepSeekがさらに先を行くかもしれない
- OpenAIがAOL的なクローズド戦略を継続して勝ち続けられるのか、それとも早々に無償に近いオープンモデルに押されるのか
- “コモディティ化→UI/UXや付加価値の差別化で勝負”という流れが、アプリケーション層に波及していく可能性
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GPU需要の減少か拡大か、効率化の進展と“スケールアウト”のゆくえ
- 一部では「計算効率が上がりすぎてGPU需要が減るのでは」という懸念もある
- しかし多くの言説(NadellaのJevonsパラドックス、Semianalysisの主張など)は「むしろ需要が膨張する」方向を強調する
- 新たな用途・サービスが次々と生まれるため、GPU需要は減らないどころか加速しうる
- 推論に特化した低コストな推論チップや、バーティカル用途向けの専用半導体の可能性はあるものの、Nvidiaがすぐに不利になるとは限らない
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AIラボ・スタートアップにとっての機会と懸念
- ファウンデーションモデルの技術的優位性が急速に陳腐化していくと、大型投資を前提にしたAnthropicやxAIなどは厳しくなる
- 一方でオープンな高性能モデルがあれば、スタートアップが安価で強力なモデルを活用できるようになり、アプリ開発の活性化が期待される
- “AI wrapper”が単なるUIレイヤーに過ぎないという批判があったが、実際はラッピングでも十分に差別化し得るという主張
共通点として浮かび上がるもの
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DeepSeekの出現が“ビッグテックが築いてきた前提”を根底から揺るがす可能性
どの言説も、これまでOpenAIやAnthropic、Microsoft、Googleなどが主導していた「巨額投資→最強モデル」という構図に疑問符を投げかけている。MoEやMLA等の手法によって、GPU性能に依存し過ぎないモデル効率を獲得してしまうと、「資本力=モデル性能」ではなくなるかもしれない。 -
しかし“GPU需要が激減する”とは限らず、むしろ拡大シナリオが多い
共通して言及されるのがJevonsパラドックスやスケールアウト的視点で、AI普及が加速すれば「低コスト・高性能」の恩恵を受ける産業が一気に拡大し、トータルの演算需要は減らない(むしろ増える)可能性がある。Nvidiaの株価が短期的には下がっても、結局長期的には需要が伸びると見る見方が多い。 -
オープンソース化・コモディティ化が急速に進展し得る
DeepSeekが論文やウェイトを公開し、他社がそれを吸収して改良を重ねる流れは、MetaのLlamaのときと同様に技術革新のスピードを加速させる。特に中国では人材プールも大きく、短期間でさらに複数の“DeepSeek的フォロワー”が出現する可能性がある。 -
大手テック企業や大型VCが再度“投資戦略・ビジネスモデルを見直す”フェーズに入る
どの言説も、OpenAIやAnthropicへの莫大な資金投下が本当に報われるのか、疑義を呈している。単にリソースを積み上げるだけで差別化できる時代は終焉しつつあり、むしろ効率化技術やオープン化への対応が鍵になる、というトーンが全体に通底している。
主な相違点・立場の違い
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DeepSeekのGPU保有状況やトレーニングコストへの評価
- 「V3トレーニングコスト$5.6Mはウソに近い」という強い懐疑論と、「アブレーション実験や前段階を除外すれば理屈としては成り立つかもしれない」という比較的肯定的な見解に分かれる。
- Semianalysis的な詳細分析では「総投資は数億ドル規模で、600万ドルというのはごく一部の数字に過ぎない」とする立場が強い。
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H100の入手可否や規制の実態
- 「中国企業はH100を輸出規制で購入できないはずだ」という主張と、「何らかの抜け道や空白期を使って大量保有している」という推測が対立している。
- DeepSeek公式は「H100は調達できていない」と明言しているが、周辺の推測では「実は隠している」という意見もある。ここは明確な証拠がまだなく、言説ごとにトーンが違う。
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OpenAIが“本格的にAOL化”してしまうかどうか
- 一部の分析は「最終的にオープンなAIに駆逐される」という強いシナリオを提示
- 他方、「OpenAIは既に巨大ユーザーベースを確保しており、ブランド力とUXで当面は先行者利益がある」というやや楽観的な見方がある。
- ChatGPTの収益規模やプラットフォーム化の進度をどう評価するかで、分かれがある。
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本当に“技術のピーク”に近いのか、まだ“過渡期”なのか
- 一部では「モデル性能は急激に頭打ちしつつあり、アプリケーション時代が到来する」という観点がある。
- しかしSemianalysisや一部投資家筋は「まだまだ新アーキテクチャやアルゴリズムによる性能向上余地が膨大に残っており、インフラ(モデル)側の進化は止まらない」としている。
もっとも“確からしい”と推測できるポイント
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DeepSeekは少なくとも“技術力と大規模資金”を併せ持った存在
これは多くの言説が一致している。MoEやMLAなどの工夫だけでなく、中国のヘッジファンドHigh-Flyer由来の莫大なGPU投資が裏付けにあるため、単なる小規模スタートアップではない。
スピンアウトの形とはいえ、巨額のリソースを集中投下できるため“スタートアップ特有の敏捷性+ビッグファンド級の資金力”を併せ持つハイブリッドな存在になっている。 -
“大規模モデル至上主義”はすでに崩れ始めているが、“大きなGPU需要”そのものは崩れない
DeepSeekの技術やMeta Llamaのようなオープンウェイト化は「とにかく大きなモデルを、最新チップで回すほど強い」という単純な論理を否定しつつある。しかし、その結果として“AIを使う場面”が激増し、最終的には計算資源の総需要が拡大するという流れが、諸言説で相当程度一致して語られている。 -
近い将来、コモディティ化された高性能モデルが市場にあふれ、アプリ層・応用層がいっそう活発化しそう
DeepSeekがR1をリリースしてから、すでに欧米・中国問わず類似アプローチを取り入れたモデル研究が急増している。LLMの高性能化・効率化技術が広範囲に普及するのは時間の問題なので、モデル提供だけで食っていく形は難しくなる。アプリケーションやサービス体験での勝負が一気に加速する見込みだ。 -
地政学リスク・政府規制要素によって“オープン”が制限される可能性
大規模GPUの輸出規制が強化されれば、DeepSeekが欲しいだけ先端チップを買える状況は消える。あるいは、中国政府がAIモデルに強い検閲や管理を要求すれば、DeepSeekのオープン体制が揺らぐ恐れもある。
こうした規制合戦が続けば、米国系モデルと中国系モデルがアルゴリズム上では急速に近づきつつも、実務的にはデカップリングする可能性がある。 -
OpenAIやAnthropicなどのクローズドAIモデルが、価格・性能競争力だけでシェア維持するのは困難
大手テック企業にとって、ChatGPT等のマネタイズモデルが今後どれくらい持続可能かは大きな論点。より安価で類似性能か、それ以上の性能を出すオープンモデルが増えていけば、次第にサブスク課金やAPI料金の引き上げは難しくなっていく。ユーザーを囲い込むには、他の独自チャネルやディストリビューション、企業顧客との包括的なエコシステム構築など、純粋なモデル性能以外の策が必要になる。
以上のように見ると、各言説は「中国発のDeepSeekというオープンソースに近い革新的モデルが、既存AI勢力の前提やビジネスモデルに大きな揺さぶりをかけつつある」という点ではほぼ一致している。一方で、DeepSeekが本当にどこまで巨大リソースを持っているのか、H100の保有・使用がどうなっているのか、あるいはトレーニングコストの実態がいくらなのか、といった細部についてはかなり見解が分かれる。どの論考も「まだ確たる証拠がない」「推測ベースで議論が進んでいる」面が大きい。
技術的には、すでにさまざまなモデルがMoEや省メモリ化技術を取り入れつつあるので、DeepSeekが提示したイノベーションそのものは“取り込まれやすい”性質を持っている。結果的にモデル層での差別化はますます難しくなり、インフラ銘柄(Nvidia等)やアプリケーション開発者サイドに新たな投資チャンスが集中する可能性が高い。ただし輸出規制や地政学リスクにより、「このまま全世界でオープンイノベーションが加速するのか」「東西でモデル開発が分断されていくのか」は不透明さを増している。
いずれにせよ、DeepSeekが引き金を引いた“効率化・低コスト化の波”は短期で終わりそうにないし、それがJevonsパラドックスによってかえって計算需要を爆発させるシナリオが最有力とされる。こうした矛盾的な力学こそが、AI業界を次のステージへ押し上げるエンジンになっていく可能性が高いと諸言説は示唆している。
以下は、あくまでも一般的な知見や専門家が議論している内容を踏まえた「考え方の例」であり、特定銘柄・商品への直接的な推奨を行うものではありません。実際の投資判断に際しては、必ずご自身でのリサーチや専門家への相談を組み合わせて慎重に行ってください。
投資対象別の分析
1) Nasdaq100のETF
背景
- Nasdaq100は時価総額上位のテック企業(Apple, Microsoft, Alphabet, Amazon, Meta, Nvidiaなど)が大きなウェイトを占める株価指数。
- 近年はインデックス全体の主導役として、いわゆる“M7”(Microsoft, Apple, Alphabet (Google), Amazon, Meta (Facebook), Nvidia, Tesla)などの巨大企業がさらにウェイトを高めている。
- AIブームを牽引してきたのは主にBig Techであり、さらにビジネスモデル全体でAIを導入し、既存サービスのエコシステム強化にもつながるとの期待がある。
- 同時に、2023年後半から2024年にかけては「大規模モデルがオープンソースAIに押されるかもしれない」という議論があり、OpenAIやAnthropicを支援するMicrosoftなどは特に注目度が高い。MetaはLlamaをオープン化する方針で話題になり、GoogleはGeminiシリーズの開発でさらなるAI化を図っている。
考え方
- 長期目線で見ると、Nasdaq100上位を占める企業群はAI・ソフトウェア分野のリーダーであり、多額のキャッシュフローと膨大なユーザーベースを活かしたプラットフォーム力が強い。そのため、AIの進化に合わせた新サービス展開や投資継続は十分に可能とみられる。
- 一方で、オープンソースAIの普及は「モデル開発のコモディティ化」を促し、AIプラットフォームやクラウドサービスの形でビジネスを拡大したい各社にとって、収益源の一部が圧迫されるシナリオも否定できない。OpenAIがAOL化(=クローズドな戦略を貫きづらくなる)という見方は、同時にNasdaq100の主要構成企業への影響(Microsoftなど)も示唆する。
- ただし、Jevonsパラドックス的にAI需要が急激に増大し、それに伴ってクラウド利用や半導体購入、ソフトウェアライセンス費用が膨らむ可能性も高い。結果的に「AIによりかえって業績が押し上げられる」展開が想定される。
2) 半導体セクターのETF
背景
- 代表的にはSOXXやSMHといったETFが挙げられ、Nvidia, AMD, TSMC, ASML, Intelなどが主要構成銘柄となるケースが多い。
- AI活用の根幹はGPU/TPUをはじめとする高度な演算資源(アクセラレータ)であり、AIブームによってNvidiaが2023年に大幅上昇を見せるなど、半導体セクター全体への注目度が一気に高まった。
- DeepSeekのように「省メモリ・高効率なモデル」が登場すると、高性能チップの必要性が下がるのではないか、という懸念も一部で語られている。しかしSemianalysisなどの分析では「効率が上がるほど、かえって新たな利用シナリオが拡大し、演算需要は全体として増える(Jevonsパラドックス)」という指摘が根強い。
考え方
- 大きな流れとしては、コンピューティング需要が増え続ける限り、半導体セクターは複合的な恩恵を受けるという見方が多い。推論の増加だけでなく、学習や分散システム、さらに端末側(エッジAI用のチップ)でも新しい需要が爆発的に拡がる可能性がある。
- ただし、半導体市場はサイクル特性が強く、PC向け・スマホ向け・データセンター向けなど複数の需要が連動しながら景気に左右される。特に景気が急減速した場合など、短期的に株価は大きく振れるリスクもある。
- 中国への輸出規制(H100/H800/H20シリーズの規制強化)や地政学リスク、台湾情勢など不確定要因は多く、ETFは銘柄分散効果を得やすい反面、半導体セクター自体が一斉に下落する場面に巻き込まれる可能性もある。
3) M7(ビッグテック)
背景
- M7とはMicrosoft, Apple, Alphabet (Google), Amazon, Meta (Facebook), Nvidia, Teslaを指すことが多い。2023年前後から米国株式市場を牽引している主力グループ。
- これらの企業はそれぞれにAIやクラウド、モビリティ、デバイス、広告・ECといった巨大セグメントを持ち、世界規模のプラットフォームを展開している。
- DeepSeekなどのオープンソース型AIが出てきたとしても、M7各社は事業ドメインが広く、場合によっては「他社のオープンソースAIを採用したサービス展開」すら可能。たとえばMetaは自社でLlamaをオープンソース展開しつつ、他社の研究成果も取り込みやすい構造を持っている。
考え方
- 投資家視点では、M7はAIブームの恩恵を最も大きく享受する一方、規模と期待値ゆえにバリュエーションが高くなりがちという点は留意すべき。成長率が若干落ちるだけでも株価調整が起こりやすい。
- MicrosoftはOpenAIとの協業が際立つ反面、中国勢(DeepSeek)との競合・地政学的なやりとりなど、いわば“最前線”で新技術のインパクトを受けやすい立場にある。
- NvidiaはGPUという“AIインフラの中核”であり、短期的には規制を含めたニュースフローが大きく影響する銘柄でもある。AI需要が続く限り長期的な成長余地はあるが、株価が急上昇した後に調整が入りやすい点は歴史的にも指摘されている。
- いずれも「ドロップする時も一斉下落する」可能性がある点で、個別のバリュエーションとリスク分散の両面を検討する投資戦略が求められる。
4) 米国の小型グロース
背景
- 小型グロース株はイノベーションや高成長が期待される反面、市場局面によって変動が大きい。コロナ禍での金融緩和下では“ハイパーグロース”銘柄が爆騰したが、2022年以降の利上げ局面では大きく調整を受けた。
- AI分野に限ってみても、小型スタートアップで急成長する企業が出てくる一方、競争力のある技術を開発してもすぐに買収対象になるケースや、大手が類似サービスを出してしまって淘汰されるケースもある。
- DeepSeekのように「オープンウェイトを無償公開」「推論コストを原価レベルまで安くする」などの動きが広がると、AI関連の小型企業の参入は容易になるが、逆に「特許や独自モデルの技術優位による継続的な超過利益」が得にくくなるリスクもある。
考え方
- 破壊的テクノロジーや革新的ビジネスモデルを創出できる小型グロースは、大手企業が目を付けて買収に走るケースも多い。結果として投資のリターンを得やすい側面もあるが、その一方で淘汰リスクやバリエーションの過度な上振れなどは常に潜む。
- オープンソースのAI時代には、汎用モデルそのものがコモディティ化しやすくなるため、小型スタートアップの勝負どころは「特定分野への特化(バーティカル戦略)」「データやユーザーコミュニティの独自性」「リアルビジネスへの深い統合」といった領域になりがち。こうした差別化要素をしっかり持つ企業を選別できるかが鍵になる。
- 金利環境がまだ高止まりする可能性がある段階では、小型グロース全体としてのバリエーション拡大には限界があるかもしれないが、個別に“AI×○○”の特化企業が大化けする余地を秘めるのも事実。その分、銘柄選択の難易度が極めて高いセクターともいえる。
以上のように、AIを巡る技術革新(DeepSeekなどのオープンソース化、モデル効率化)は「一見すると大手・半導体需要にマイナスか?」という見方もあり得る一方、むしろ長期的には適用領域の拡張により需要が拡大するとする声が強いです。したがって、Nasdaq100や半導体ETF、M7といったセクターは「短期的にボラティリティはあっても、AI需要の恩恵を享受する要素が多い」というのが主な専門家や機関投資家の見方です。一方、小型グロースはハイリスク・ハイリターンであるため、景気や金利・規制の影響をより受けやすく、かつ銘柄選別力が重要になります。
投資判断の際は、**グローバルな地政学リスク(輸出規制の強化、米中対立)や金融政策の動向(利上げ・利下げ)**といったマクロ要因も大きく影響する点に注意しながら、ご自身のリスク許容度とのバランスを検討することが重要です。
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