風丸氏のレバナス本を立ち読みした感想を書く。
買ってさえないのに感想書くのか…という感じだが、買う気までは起きなかったので仕方あるまい。
- 個人ブログ味ある感じは好き
- 今、株+債券のレバレッジを勧める勇気
- ”心”という不確実性のマネジメントも投資の一部
- 方法論か、心構えか
- 商業的スタンスと、投資の本質の追求は別物
- ”判断しない”インデックス積立は、心のマネジメントが要らない
個人ブログ味ある感じは好き
自分が眺めたのは、書籍の後半部分で、、
- 後半は、レバナスと債券(レバレッジあり)を組み合わせたポートフォリオ等を紹介
- バックテストによりパフォーマンスを検証
- 直近の株式/債券絶不調相場でのDD発生は認めつつも、長期のパフォーマンスは良いのでええんちゃうかとの評価
…という感じ。記憶頼みなのでふわっふわでごめんなさい。
個人的には、そんなに嫌いじゃない。
むしろ、この手の個人が色んな調べものしたりして「僕が考えた最強のポートフォリオ」みたいなのは、割と好きな部類。
検証結果をどう評価するかは個人の見方によって異なるとして、発想やファクトを参考にするのは好きなんすよね。
今、株+債券のレバレッジを勧める勇気
以上のような作りに関する感想を踏まえたうえで、、
どうしても感じざるを得ないのは、所謂60/40ポートフォリオが歴史的な絶不調で「債券が安全クッションとして全く機能してないの(白目)」という時期に、このポートフォリオを推すのは勇気が要るよなぁ、、という点か。
裏を返せば、既に大分DDは発生しているので、今からINするならば潜在的なリターンは数カ月前よりはだいぶ高いやろとは思う。※絶対リターンの話じゃない
他方、ボトムフィッシャー的な動きにもなるので、相応に逆行しても泣かない覚悟は要ると思う。
ついでに言えば、似た発想のファンドでグローバル3倍3分法とかありましたけど、パフォーマンスどうなってたかしら的なことも思わないでもない。
「良好ではないバックテスト結果を見たことが無い」というのが誰の言葉だったか忘れたが、商品企画時は、素晴らしい結果なんすよね。。
この手のやつは商品化された途端に、商品設計上の弱点を気持ちよく突いたような逆境相場が始まるのは、ある種の”お約束”なのかもしれまへん。
あと、オススメポートフォリオが引き続きレバレッジ前提である点について。。
インデックスの積立をしていれば然程に大ケガはしないと思われる中、レバレッジを掛けるのはリスク許容度が相当に高い選択であるという点は、よくよく読み手に認識させた方がいいと思う。
レバナス自体が「どれだけリスク取れるかがすべて」という2020年以降の相場の中で生まれた商品であり、根本的なマインドが変わらないまま提案されている内容である…という印象を受ける。
レバレッジは義務じゃないし、ましてや一般的な行為でもない。
書籍中でも所々でエクスキューズは入れているものの、基本姿勢は「早くやらんと間にあわなくなるぞ」的な煽りの色が濃いと感じる(個人的な印象です)。
人をその気にさせるのは一種のスキルであり、氏の書籍には意図的なのかどうか知らんだが、その色が出ているように思う。
”心”という不確実性のマネジメントも投資の一部
あとは、心理面へのケアがもう少しあってもいいかとは思った。
DD時の対処法として、よくTwitterで見る「気絶投資法」「パフォーマンスが一番良いのは亡くなった人」を推しているのだが、これは口で言う程簡単ではないと思う。
前もブログで書いたが、ライオンに噛まれた傷みは、ライオンに噛まれないとわからない。「気絶すんぞ」と言いつつも、実際にDD食らったときに自分の心がどう反応するかは、実際にその時を迎えないとわからない。
たまに「そういうことが起こったと想像して、耐えられそうか試してみて、、」みたいなリスク許容度の確認方法も見るが、これも機能するものとは思えない。
まだDD食らったことが無ければ、「DD」等のキーワードから想起される手持ちの記憶を頼りに、関連するニューロン・シナプスが発火するわけだ。
で、その結果、惹起される感情が実際にDD食らったときにおこる発火パターンとどれだけ近いかにこの確認方法の有効性が掛かっているわけだが、そんなん分からんわなとしか言いようがない。
むしろ、経験してもいないことの脳の発火パターンを自由に再現できるとか、人間やめてるんじゃないすかねというのが自然な解釈という気さえする。
「相場見なけりゃいいじゃん」という考え方もあるかもだが、「気になっちゃう」「つい見ちゃう」というリスクもあるわけだ。
言い方を変えれば、「自分は気絶を貫ける意思を持っているかどうか」という点も、考慮すべき不確実性なのだと思う。
これらはDDが発生する(と、ニュース見てると想像される)環境下で、自分の心(脳)がどういった反応を見せるか、、という不確実性の問題である。
投資の方法論も大事だが、この手の心理マネジメントはそれ以上に大事だと、個人的には思ってる。
方法論か、心構えか
書店で平積みされている投資本は方法論についての解説が多いけど、書棚に1冊ずつしかないパンローリングの分厚い本などは、丸々一冊心理面の解説、、なんてのも割と多い。最近みたタイトルでビビったのは、「投資で〇殺しないで済む方法」みたいなのもあった。
この辺りは、投資というものをどういうものと見ているかの違いがよく表れている象徴的な事例と思う。
海外の著名投資家は、こういった心理面や心構えの記述に「そんなに?」というレベルで紙幅を割いていることが多く、投資に必要な素養として重要視しているのがよく分かる。
これは想像だが、彼ら/彼女ら自身も、相当に投資で惨めな思いをした経験があるからだと思う。(とういか、そう書いていることもよくある)
バックテストでDD期間見る分にはJust a Numberなのだが、自分の判断でDD食らうのは、本当に惨めな気持ちになる。
その感情は一瞬ではない。DD期間中、ずっと続く。どうして俺は、こんなタイミングで、こいつを買ったんだ。。これを買わなければ、こんなにお金があったのに、、こうした思いが堂々巡りをする。
こうしたネガティブな思考のループを避けられるかどうか?それは、実際にその時にならないとわからない。さっき書いたとおりだ。
だからこそ、この点は紙幅を割く必要がある。自分が、どんな目に遭う可能性があるか、、完全に「伝わる」ことは不可能でも、「伝える」努力は相応にした方がよいと思う。
商業的スタンスと、投資の本質の追求は別物
ここまで書いて思ったが、そんな根暗陰キャじめじめ本、売れねーよと思いました。
このアクセルとブレーキのバランスの均衡点がどこにあるかは私にはわからないけど、商業的には風丸氏のスタンスは相応しいんじゃないすかね、と適当に〆ておきます。
”判断しない”インデックス積立は、心のマネジメントが要らない
蛇足だが、こうした観点からもインデックス積み立ては優れていると思う。
前にも書いたが、とにかく他の投資法と比べて「意思決定してる感」が少ない。後悔が発生するのは自分で判断したという意識があるからであって、毎月たんたんと、オーソドックスなものを買っていく…というのは、その感じが薄い。
真剣に投資・トレードと向き合っている方からは呆れられそうだが、この某国の総理ばりに「判断しない感」「意思決定しない感」というのが、インデックス積み立ての最大のメリットだと思う。
この意味で、メンタルマネジメント上も非常によろしい。というか、私含めたパンピー向けの投資法でこれ以上に優れたメンタルマネジメントをワイは知りまへん。以上です。
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