どうも。くじらです。
少し前に、JTの減配に関するツイートがめっちゃ流れていた。
驚いたのが、「下がったのでさらに買い増す」という判断も結構、見受けられたこと。
私自身も、去年の3月~5月までは結構、高配当ETFを買っていた。その後、ポジションは縮小したが、1年はこのスタイルも経験したので、思うところがなくもない。
また、意外と私のブログも、高配当関連の記事の閲覧数が今も高い。それだけ、高配当投資は人気のある手法なのだと思う。
そんなわけで、今回は高配当株投資をしてみた実感を、つらつらと書こうと思う。
高配当株投資の2つの要諦
私は高配当株投資の要諦を、次の2点と理解している。
- 「いかに低コストで仕込むか」
- 「いかに個別リスク(倒産、減配、無配)を避けるか」
「いかに低コストで仕込むか」
一般論として、高配当株は株価が上がりにくい。
高配当、、配当利回りが高いということは、配当性向が高いか、株価が割安に放置されているということだ。
つまり、将来の成長=企業価値の向上の余地が少ないから利益を配当に回しているか、何らかの「割安であるべき」理由によって放置されているかだ。
この辺りの「高配当株、なかなかあがらんなぁ」は、コロナショック後のグロース激リバタイムを経験された方は、私なんぞにわざわざ言われずともよくご実感のところと思う。
ただ、足許は相場の局面が景気回復期に移行してきたことで、高配当銘柄、、とくに金融や不動産などは、かなりの回復を見せている。
何が言いたいかと言うと、もともと株価上昇の地力は低い一方で、上がる順番はどうしてもサイクルの最後の方になりやすいということだ。裏を返すと、次の相場サイクル≒下落局面の前に上がるということだ。
この辺りは、以前にブログでも書いた。
なので、個人的にあまりよろしくないなと思うパターンは、この株価が吹いたタイミングで仕込むことだ。
「永久保有なんでタイミングは関係ないすよ」という考え方もあるかもだが、そうは言ったって、安い時期に多く仕込んだんほうが、将来の配当収入は多くなる。
それに、もし、他の投資戦略に鞍替えしたくなった時に、含み損の状態では身動きが取れない。
そして何より、精神衛生上、あまりよろしくない。
したがって、とにかく「いかに低コストで仕込むか」が重要なのである。そして、これは「マーケットのタイミングを読め」っちゅー話なので、難易度は高い。
特に初心者(私も含めてね)の場合、なかなか下がっている局面では買いづらく、株価が上がってきたら安心して買い始める、、という行動をとりやすいのでは、と思う。
そのため、モロにこの高配当株のよろしくない時期に多く仕込んで、その後にいきなり含み損コース、、というパターンもあり得るのかなと。
私も、昨年の3月に運良く仕込めた銘柄はまだ保有しているが、あまりよいコストで仕込めなかったものは、ポジションを大きく減らしてしまった。現在、高配当系のポジションは全体の1割といったところだ。
それでも、税引後8%とか意味わからん配当利回りのおかげで、それなりに配当金欲を満たせている。
(ハイリスクな銘柄なので、たぶん、次の暴落でくっそ株価下がるとおもうけどね!)
こうしたまだ持っているものは、年間パフォーマンスで言えばインデックスべた持ちよりもずっと良かったりするので、「ほんまにタイミングがすべてやな」感が強い。
このように書くと、「配当でトータルリターンがプラスになるならいいじゃないか」とのご意見もいただきそうに思う。
その通りだと思う。すべての投資の大前提は利益を出すことなので、そこを守れているのであれば、好きにしたらいいと思う。
各自の目的を果たせるならば、その人に合った方法を採ればいいと思う。
もしも、「その”大前提”とやらも違う」ということになると、そもそも投資に求めているものが双方で異なる可能性が高いため、本件はまったく無視していただいた方がいいと思う。
これを踏まえたうえで、トータルリターンがマイナスになるようであれば、さすがにその投資戦略は見直しが必要ではないかと考える。
「いかに個別リスク(倒産、減配、無配)を避けるか」
もう一つは、個別株の抱えるリスクをどう避けるか、である。
ぴかぴか優良の連続増配株を狙う場合は、この論点はそこまでクリティカルではない。
ではなくて、文字通り「高配当」の銘柄を狙う場合は、重要な論点だ。
高配当銘柄は先ほど述べたとおり、「そうあるべき理由」によって、割安に放置されていることが多い。
現代のマーケットは様々な非効率性はあるにせよ、なんだかんだ言って効率的である。
したがって、公開情報や(おそらく)インサイダー情報なども含めて、だいたいは株価に織り込み済である。
一昔前ならいざ知らず、現代はネットを介して一瞬で情報が拡散するし、多くの企業情報を簡単に入手することができる。
そのため、「俺だけがこの銘柄の真の価値を見抜けている」という伝統的なバリュー投資的なものは、極めて難易度が高くなっている。むしろ、今、バリューな銘柄はこの先ずっとバリュー、、放置されるべくして放置される可能性も結構あると思う。それどころか、現状維持ならまだしも、緩やかな衰退のほうが想像しやすい。(PBR0.3倍で放置されている本邦金融機関を横目に見ながら)
したがって、あんまり「配当利回り高いから、このくそ割安銘柄買ったろ!」的なムーブをしていると、普通に個別リスク(倒産、減配、無配)を食らうことになる。
ただ、このリスクはお手軽に避ける方法があって、単にETF買っとけばいいと思う。
まぁ、ETFでも減配はあるのだが、それはしゃーなしである。
いや、それでも個別株、、なんなら○○1本投資で俺はいくんだ的なスタンスでいく場合、その会社の将来性に対する目利きにおいて、極めて高いレベルのエッジを持っていなければならないと思う。
少なくとも、今はマーケットから否定されているわけなので、彼ら(当然、プロも含む)よりも、優れた先見性を持っていなければならない。これは正直、個人投資家にはハードルが高いと思う。
結論
で、結局お前はどうしたらいいと思っとるんじゃいと、そのように思われている方もいらっしゃると思う。
この1年間、色々な投資戦略を試してみた実感としては、「高配当投資は、ポートフォリオの一部で、、しかもETFでやるのがいいんじゃないかな」と思っている。
先述の通り、目利きのエッジを持った個人投資家は極めて少ないと思うので、まずはETFでええやろというのが1つ。
そして、タイミングがシビアであるがゆえに、量を仕込むのが難しいので、ポートフォリオの一部で運用するのが現実的なんじゃないかなぁと。
というか、基本的に「これ以上は下がらんやろ」というタイミングでしか(私は)買えないので、買い増しができないのである。そうなると、自然とポートフォリオにおける比率も限定的になる。
むしろ、「あ、ちょっと仕込み時ミスったわ」的なポジションについては、売ってインデックスで枠を埋めたりするので、さらに保有量が少なくなったりする。
もちろん、別に無理して高配当狙う必要はないのだが、一般的にこれらの銘柄はオールドエコノミーで構成されているため、ポートフォリオの分散にはなる。
実際、グロースからオールドエコノミーにローテーションがあったときなどは、多少はポートフォリオのボラティリティを抑えるのに貢献してくれている。
バリュー銘柄とモメンタム銘柄を両方持つ、バーベル戦略の一環として、高配当系を保有するのも悪くないのではないだろか。
ちなみに、先ほども書いたが連続増配当株、、特に財務体質が優良で下落耐性が(高配当株よりは)あるものは、今回のスコープ外である。そっちはバックデータ見てもS&P500とパフォーマンスほとんど変わらんETFもあるし、積み立てでもいいのかなと思う。
個人的には、タイミングを図ることを真剣に考える機会を得らえたので、高配当投資はやってよかったと思っている。ただ、投資戦略は1つではないし、その時々の状況に合ったものを柔軟に取り入れてやったらいいとも思っている。
私自身、米株を本格的に始めたのは去年の1月からなので、基本的に上昇相場しか知らない。上昇相場においては「押し目は買い」の姿勢で基本的に問題なく(よっぽど変な個別銘柄は別)、マーケット参加者はイグジットの仕方、またはロングべた持ち以外で稼ぐ方法を学ぶ機会が少ないように思う。
一方で、いつかは横ばい、、ないしは下落相場が来るのは間違いなく、その時に今と同じスタイルを続けていると、順調に資産を減らすのは目に見えている。
というか、どうしていいわからずフリーズして、最終的に祈るしかなくなる人もいると思う。口の悪い人は、こうした姿勢をBuy&Hopeとか言う。
逆に言えば、今のちょっとケガしても救われるボーナスステージのうちに様々な戦略を試して練習しておき、こうしたろくでもない相場が到来しても戦えるように、経験を積んでおくのも重要だと思っている。最近、システムトレードの短期戦略を試しているのもその一環だったりする。
そんなわけで、難易度は高いものの、一度、高配当投資を試してみるのもいいんじゃないかなと思った次第です。
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