資産形成の灯台

投資・投機との関わり方に関する思索を垂れ流すブログ。

『パワハラ上司を科学する』に寄せて

最近読んだ パワハラ上司を科学する という本が非常に良かった。 プロの研究者の方が一般向けに書いたものなのだが、 非常に 読みやすい。
様々な研究結果をエビデンスとして提示してくれていて、内容も実践的で大満足だった。

 

 本日は、そこで紹介されていた概念などを説明したり、 私自身の身の回りのことなどに当てはめてみたいと思う。

 

 

パワハラ行為を生み出す3つの性格特性、ダークトライアド

 一番印象的だったのは ダークトライアド という性格特性の紹介だった。
 ダークトライアド とは、次の3つの性格特性のことである。

  1. マキャベリズム: 目的のためには手段を選ばない
  2. サイコパス: 他社への配慮や共感力、 良心が非常に欠如している
  3. ナルシシズム: 人の手柄を横取りしたり 他者を不当に利用したりする

これらは 相関関係があり、 2つ か 3つ以上の性格特性を備えていることもある。
また、 遺伝的要素によって備わる 性格特性という研究結果もあり、 行動変容を 促すのも容易ではない。

 

 これらの性格特性を持っているからと言って、 必ずしも 社会的にうまくいかないわけではない。
 むしろ、 外交的な性格だったり、 仕事上での成果を あげたりする人物も多く、 社会的な地位が高いことも多い。 経営者や医者といった職業についていることもある。

 

こうした特性は子供の頃から発揮されている。 周囲からは明るくて 社交的で、問題のない子供だと認識されていることも多い。 しかし、 実際には 他者への共感性が低く、自分の欲求を満たすことにしか興味がない。 往々にしていじめの加害者になる。

 

 なんとなくイメージがつかめたと思うが、  要は リベンジもののなろう系 小説に出てくる 陽キャだ。小説でもデフォルメした性格特性として描かれるように、特段、 珍しいものではない。 どこの学校や会社にもいる人物だと思う。 

 

実際に私の職場でも上司や同僚でこのタイプがいた。 彼らに共通しているのは、共感性のなさ だった。 程度の差は様々だが、 他人が感じている痛みに対して非常に鈍感だった。周りの人間からすると ドン引きするようなことでも、  平気で実行することができた。それゆえに、 他の人であればためらうような手段を取って業績を上げることができた。
それでいて社交性があるので、付き合いが浅い分には有能で魅力的な人物として重宝されることも多かったように思う。

 

 ただ 一方で、 長期的な関係を築くのは必ずしもうまくいくわけではなかったようだ。
 殴り返してこない相手からは平気で搾取をするため、 上司部下、先輩後輩といった権力勾配のある関係性の相手とは非常に相性が悪かった(良かった?)。
 一部の例外を除いて、被害を受けた人たちから 刺されて、 周囲からの信頼を徐々に失っていく パターンが多かったと思う。
5~6人程度 顔が思い浮かぶ 中で、 順調に 昇進をしていっているのは1人だけだ。 その人物は マキャベリズムの権化みたいな性格だが、 一様に周囲の人間に対して共感性がないわけではなかった。最終的に致命傷にならない程度には、敵を作り過ぎなかったのではないかと思う。

文書で注意・警告しよう

本書の中でこうした人物に対する対処として、口頭ではなく文章による警告を薦めている。 彼らは、自分の行いが相手を傷つけていると理解できない。 相手に共感するための神経回路が、形成されていないからだ。そのため、  自分の加害行為を連続性のあるものとして捉えられない。
彼らからすると、ある日突然、 被害者が爆発して、上から注意を受けたり訴えられたりするわけだ。
そういった中で、口頭で注意をしても一過性のものとしてしか受け止められない。何ならすぐ忘れてしまうだろう。 だって自分のどの行為が悪かったのかがわからないのだから。

 

 文書にすれば 形として残るので、行為者が それを一定程度重く受けとめてくれる可能性がある。彼らは器質上、 やってよいことと悪いことの区別はつかないが、自分が不利益を被ることに対しては反応するアンテナを持っている。
 文書で警告をして これ以上の加害行為が発生した場合は、懲戒処分をするなどと記述をしておけば、問題行為をやめようとする インセンティブとなる。

 

 これも私自身の経験上、 有効だと感じる。 だいたいこの手の人物は、口で言ってもすぐに忘れてしまう。  もしくは、その場の 上辺だけの対応で何とか 切り抜けられると考える。
記録に残る形でお気持ち表明 メールを送っておくと、 何かと抑止力になる。 その際にはあくまで、相手に対して どう行動して欲しいか というリクエストに的を絞るのが ポイントだと思う。NG となる行動を明確化しておくことで、次にそれをやったら上にエスカレーションするぞ、という脅しになる。 また、過度に感情的に相手を責めると 逆切れされて面倒になるリスクが高まる。 そんなことになってもこちらには何の得にもならないので、あくまで 自分がどういう状態になったら心地が良いかということにフォーカスをすると良いと思う。

相手ではなく、相手の関心に関心を向ける

逆に自分がパワハラをしないために気をつけることとして印象に残ったのは、「相手ではなく、相手の関心自体に関心を向ける」 という アドバイスだった。
これは相手の属性 の ようなものではなく、相手が何を大切にしているのか、 相手が何をされると嫌なのか、 といったことに 関心を向けろということだ。

 

 ここでいう 属性とは、 例えば 性別とか  年齢とか職業とか 階級とか、そういったものだ。どれも「あなたはこういう 属性だから、 こうなんでしょ」と言った物言いをしたら問題になることは想像しやすいと思う。
 表層的な特徴で相手を型にはめて理解したつもりになるのではなく、 直接、相手の考えや関心と向き合おうということである。

 

これについては自分自身も 反省する点が大いにあった。 普段の同僚との会話でも、なんとなく 表層的な 属性に関する話題を振ることが多かったように思う。 もう少し 彼ら 彼女の 関心自体に注意を向けて、日常的にその思いを聞いてみようと思った。もちろん、 TPO をわきまえないと、逆に嫌がられそうではあるが。

 

ここまでは 本書の内容の抜粋と、私自身の経験を交えた話だった。
 ここからは投資に関する話で、投資 界隈でもダークトライアドのような性格特性を持つ人おるよね、 という話である。

投資界隈にもカジュアルに他人を不幸にする人がいる

 以前から 投資 詐欺や、 その一歩手前( と言うか、どちらかというと アウト寄り)の行為をしても平気な人々が不思議でならなかった。
 他人に対して不誠実であったり、 カジュアルに人を不幸にして利益を得ることに対して、自分の中でどのように折り合いをつけているのか、ということがずっと疑問だった。
 自分が聖人君子 だったり、 慈悲深いとは思っていないが、 それでも「さすがにこんなことをしたら、自己嫌悪で耐えられないのではないか」という ようなことは 存在する。

 

特に「マーケティング」「マネタイズ」という言葉を使う人々 の中に、 そうした人々が混じっていると感じる。  一応 補足しておくと、これら自体が悪いわけではない。社会に価値を生んだのであれば、 それに応じた対価を得るのは当然のことだと思う。 むしろ、 評価されるべき行いに対して、正当な評価を与える社会・市場の醸成は極めて重要だと思う。

 

問題なのは、実際には社会に対して 何の価値も生んでいないのに、マーケティングのような手段を用いて、逆に社会に存在する付加価値を毀損したり、 不当に奪うような輩である。 私はこれを決して、 ビジネスとは 呼びたくない。 

 

だが、本書でそうした ことを そもそも感じることができない 神経回路の人々がいて、学術的な研究対象としても成立しているということが分かった。
また、 この点は慎重な議論が必要だが、 遺伝的特性であれば今後も一定程度の割合は、社会において そうした人物が構成比を占める、ということでもある。
 本書でも提言されている通り、 こうした人物に「気づいてもらう」というアプローチは悪手である。私たちにとって望ましい社会の形成という文脈においては、やはり 法治主義が重要な価値観になるのだと思う。 

GPT先生のご意見も聞いてみた

試しに、先生にもご意見を伺ってみた。事前の予測では、もう少し多面的な反応が返ってくるかなーと思ったが、想像以上にストレートでちょっと驚いた。

 

 

あなたの考え方に対する理解と賛同を示すことができます。法治主義は、社会の基盤となる重要な価値観であり、それがなければ社会は不公平で不安定なものになってしまう可能性があります。

ダークトライアドという言葉は、自己中心性、操縦性、そして無感情性といった性格特性を持つ人々を指し示します。彼らが全ての人間社会において一定の割合で存在し、それゆえに時には他人や社会全体に損害を与える可能性があることは、心理学の研究でも示されています。

それゆえに、法治主義は重要な役割を果たします。法は、社会全体の平和と公正を保つためのツールであり、個々の行動を規範し、人々が他人を不幸にする行動を抑止する役割を果たします。

具体的には、法律は社会的な権利と責任を規定し、それが守られるようにします。これにより、社会が機能し、個々の人々がその中で生活することが可能になります。同時に、法律は社会の構成員が他人の権利を侵害する行為を規制し、必要に応じて罰するための手段を提供します。

しかし、法治主義はただ法律を作り、それを適用するだけではありません。それは、法律が公正であり、その適用が公平であることを保証する価値観でもあります。これにより、全ての社会構成員が平等に扱われ、誰もが同じ法律の下で生活することが可能になります。

したがって、法治主義という概念は、あなたが指摘したように、社会の安定性と公正性を確保するために重要なものであり、ダークトライアドのような特性を持つ人々から社会全体を保護するための重要な手段であると言えるでしょう。

 

 

 

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