資産形成の灯台

高配当株ETF・インデックス投資をメインとした資産形成の戦略策定・実践の記録を配信。SPYD, VOO, QQQ, VGT, DIV, SRET等を運用中。最も尊敬する投資家はハワード・マークスです。

【時事ネタ】債務超過の企業が借入金で自社株買い、米国では当たり前?

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本日は日経新聞に興味深い記事が出ていましたので、

内容を掘り下げてみたいと思います。

 

私たち、米国株で資産形成をする身にとっても、

「自社株買い」は重要なキーワードですね。

 

 

 

米国ではなぜ、借入金による自社株買いが進む?

まず、記事の一部引用をご覧ください。

米有名企業が債務超過となる事例が続いている。2019年はスターバックスやボーイングなどが加わり、債務超過額の合計は650億ドル(約7兆2千億円)と金融危機だった08年以来の高水準となった。低金利で借り入れた資金を使って利益を上回る自社株買いや配当を実施し、資本を取り崩したためだ。稼ぐ力を持つ企業が多いとはいえ、株主還元に傾斜した財務戦略は金融環境次第で経営不安につながるおそれもある。

出典:日本経済新聞 2020/2/14付 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO55612200U0A210C2EA2000/

 

ざっくり言うと、

  • 米国企業が借金をして、
  • 自社株を買って、
  • 債務超過になっているよ!

といった内容です。

(ざっくりし過ぎですかね?)

 

日本の頭の堅い金融機関に勤めている身からすると、

「へぇ!?そんな理由で債務超過になっていいんすか???」

…と、言いたくなります。

 

保守的(≒古い?)な金融機関ほど、債務超過は蛇蝎のごとく嫌いますからね。

では、なぜ米国ではこうしたことが行われているのでしょうか?

 

主な理由としては、

  1. 株主への利益還元を重視する文化があるから。

  2. 先行きに対する自信を示すシグナルになるから。
  3. 経営者の報酬が株価に連動しているから。

  4. 債務超過になっても上場廃止にならないから。

 順番に見ていきましょう。

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株主への利益還元を重視する文化があるから。

そもそも「企業は株主のもの」という考え方が支配的だからですね。

日本の場合は、従業員や顧客など、株主以外のステークホルダー(利害関係者)を重視する文化があります。

一方で、米国では「企業の所有者である株主に利益を還元するべきだ」という考え方が根強いのです。

 

例えば、日本ですと連続増配年数は10年超でも

「おお、結構なげーな」

という感じですが、

 

米国企業には連続増配記録50年超みたいな企業がゴロゴロいます。

うーん、すごいですね、、

 

一方で、最近はこうした株主第一主義的な考え方に対するアンチテーゼも提唱されています。

しかし、長年続いてきた考え方です。すぐに変わるものではありませんね。

 

先行きに対する自信を示すシグナルになるから。

「自分の会社の株式を買う」という行為自体が、
自分達の自身を示すシグナルになるのです。

「うちの株は過小評価されている!」

「うちは、将来の業績に自身があるんだ!」

「何なら、自分たちの金で自分たちの株を買ってみせるぜ!」

…というようなイメージです。

ましてや、自己資金ではなく借入でそれを行うのです。
これは、市場に対するより強いメッセージになり得るでしょう。

経営者の報酬が株価に連動しているケースがあるから。

「これが一番大きいんじゃないかな、、?」

などと勘ぐってしまいます。

 

自社株買いによって株価が上がると、

CEOの報酬も上がるのです。

 

なお、なぜ自社株買いをすると株価が上がるかというと、

理由の1つは、EPS等の指標が良化するからです。

 

EPSというのは、Eearning per shareの略で、「1株当たり利益」のことです。

つまり、

「この企業は株式1つ当たり、どれくらいの利益を稼げているの?」

という指標です。

 

株式の価格が決まる要因の1つは、

企業の「稼ぐ力」です。

 

たとえ、稼ぐ力が変わらなくとも、自社株買いで市場に出回る株式数が減れば、

1株当たりの利益は増えます。

すると、このEPSも上昇して、株価も上昇する、、という次第です。

 

債務超過になっても上場廃止にならないから。

これも「本当に日本とは違うなぁ」的な念を禁じ得ないのですが、
米国市場では債務超過が上場廃止の要件になっていないのです。

(一方で日本の場合は、猶予期間付きで上場廃止の要件になっています)

 

根底的にある考え方は、

「キャッシュフロー(資金繰り)が回るならいいじゃん?」

というものでしょう。

 

「財務の健全性」よりも、「キャッシュフローの創出力」を重視する考え方ですね。 

 

米国株投資家にどんな影響がある?

では、資産形成の手段として米国株に投資する人々は、
この事実をどう受け止めればいいのでしょうか

 

株主還元の姿勢自体は歓迎すべき?

株主に報いてくれる姿勢自体は、喜ばしいことです。

配当にしろ、自社株買いによる株価上昇にしろ、株主にとっては嬉しいことですからね。

 

将来の金利上昇局面で何が起きるのか?

一方、将来の金利上昇局面で何が起きるのかは心配なところでもあります。

 

借入によって得た資金は、自社株買いに充てられています。

つまり、返済原資を生む投資に回されるわけではないのです。

そもそも、本業のCF創出力が十分であるから借入をしているのだとは思いますが、
将来、金利が上昇して金利負担が重くなった場合はどうでしょうか。

さらに、金利上昇と景気減速がセットになった場合は、

  • 支払の増加(金利負担の増加)と、
  • 返済原資の減少(本業で得られるCFの減少)の、

ダブルパンチが効いてくる虞もあります。

 

…とは言え、

過度に慎重になる必要もないでしょう。

 

個別企業のデフォルトリスクは、分散投資によって減じることが可能です。

当面は、自ら株主となって、企業の成長の果実を得ることが最良の生産形成であることに変わりはないと信じています。