どうも。くじらです。
今日は、分散投資と集中投資をテーマに、
「今後はこんな方向性で投資したいなぁ」
ということをお話ししたいと思います。
特に、長期投資について悩まれる方にはヒントになるかもしれません。
よろしければお付き合いください。くそ長いです。ごめんなさい。
なお、先日書いた記事では「AAPLのような大型グロースに今からがっつりポジション張ることはしない」と書きました。
これはあくまで、短期の話です。
本日は、長期という時間軸であることにご留意ください。
また、特定の投資手法を否定する意図もございません。
あくまで私見としての投資アイデアである点、ご理解ください。
問題意識:意味のある分散投資とはなにか?
最近のS&P500の動きを見ていると、思うことがあるんですよね。
「意味のある分散投資ってなんだろう?」
不動産やエネルギーセクターの不調振りを見ていると、特にそう思います。
こうした思いでもやもやしていると、頭の中で議論が始まります。
「いやいや、将来的に何が上がるかわからないんだから、幅広く保有していた方がいいて。足許の動きだけで判断するなよ」
「特に長期投資は将来の不確実性とリスクが高いだろ?少なくとも、長期の投資枠は幅広いセクターに分散したほうがいいって!」
…果たして、そうなのだろうか。
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意味のある分散と意味のない分散
ここで私の中で首をもたげてきたのは、
「意味のある分散と意味のない分散があるのでは?」
…という考えです。
分散っつーと、普通は相関の低いアセットを組み合わせてシャープレシオを上げる、、っていう文脈で使われますが、、
ここでは、
「S&P500のような幅広いセクターにエクスポージャーを持つ指数が、
成長分野の集中投資に対してどれくらいの分散のメリットを有するのか」
…という問題設定で考えてみたいと思うのです。
なぜなら、これから私のやりたいことに関係しているから。
以下の図表とグラフをご覧ください。
これは、GAFAM集中投資ポートフォリオと、S&P500 の値動きを比べたものです。
ただし、観測期間を長くとるためにfacebookは抜いています。なのでGAAM(?)です。
あと、個別株としての動きを見るためにAAPLとAMZNも載せています。
以下は、対数グラフと普通のグラフです。
中身はじっくり見ていただくとして、読み取れる内容は次の通りです。
- GAAMは標準偏差がS&P500 より高いが(23.54% vs 14.55%)、最大ドローダウンはほぼ50%と変わらない。
- GAAMのCAGRはS&P500 を圧倒している(29.39% vs 8.68%)。
- その結果、GAAMのシャープレシオ・ソルティノレシオはS&P500の倍の水準にある。
- GAAMは個別株のAAPL・AMZNにCAGRでやや劣るものの、リスク・リターンの比率(シャープレシオ・ソルティノレシオ)では勝る。
特に私が強調したいのは、最大ドローダウンです。
まず、GAAMもS&P500も50%程度とそんなに変わらない。
どちらも、リーマンショックの時にガツンとやられました。
さらに、S&P500は下落してから元の水準に戻るまで2年以上かかっているのですが、
GAAMは1年くらいで回復しているんですよね。
この傾向は、今回のコロナショックとオーバーラップします。
むしろ、コロナショックではこの傾向がさらに強まったと言えるでしょう。
傷が浅く、さらに癒えるのも早い。
強いものは、より強靭に。
弱いものは、より脆弱に。
資本主義の縮図のようなものが見えますね。。
以上は過去のデータに過ぎませんが、当面はこの傾向は続くのではないかと考えています。
これに対して、リターンの差は圧倒的です。
よく「リスク・リターンは表裏一体」と言いますね。
ただ、これはいつでも両者が対等・対称を成しているわけではないのでしょう。
GAAMとS&P500の比較結果を見ると、ある種のポートフォリオはリスク・リターンの効率が極めて高くなり得るのだと思います。
そのうえで、強いものを集めた少数の分散は意味を成す。
GAAMの標準偏差や最大ドローダウンは、AAPL・AMZN単体のそれよりも優れています。
とくに、AMZNは一時的にS&P500のリターンを下回っていた時期があります。
これをGAAM4社に分散させることで、常に指数を上回る状態を実現しています。
弱いものの分散と強いものの分散
ここまでの結果を見て、私は次のように考えます。
- S&P500の「500社」という分散は、ある条件下では意味を見出せない
- 「強い成長株による少数の分散」という投資の方向性はあり得る
もともと、ポートフォリオの分散効果には限界があります。
相関等の条件にもよるのでしょうが、大体、十数社でリスクの低下は頭打ちになります。
出典:MARR Online
https://www.marr.jp/genre/basis/Suzuki/entry/15758
むしろ、5社くらいでも結構、いい感じに下がってくれるのがわかると思います。
仮にリターンの期待値が高い銘柄が分かっている場合、それ以上の分散はリターンの期期待を下げるだけの「お荷物」なのです。
特に、昨今のように強いセクターと弱いセクターがはっきりしている場合は、特にそう思います。
もちろん、将来的にバリューが巻き返す期間が来る可能性もあります。
「可能性がある」というか、いつかはわかりませんが「来る」でしょう。
ただ、そうした時代でもグロースが伸びる時代の貯金があればこそ、
アンダーパフォームしても精神的に耐えらえるのではないかと感じます。
この「貯金」を伸ばすうえで、過度な分散はむしろ邪魔になる。
ここまで読むと、
「だったらもう、クソツヨ成長株数社の集中投資でよくない?」
そのように思われるでしょう。
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不確実性を考慮した投資
不確実性は分散を正当化する?
それでもより多くの分散が正当化される条件があると考えます。
それは、「不確実性」の考慮です。
リスクと不確実性は違います。
リスクは定量的に計算することができます。標準偏差(ボラティリティ)は10%!みたいな感じですね。
過去のデータを基にして、「だいたい、これくらいの確率で起きそうだな」みたいなのがわかる事象に対して使う言葉です。
これに対して、不確実性は定量化できず、計算できないものを指します。
言い換えると、「発生確率がわからない」*ものです。
* 定義は諸説ありそうですが、ここではこのようにお考え下さい
例えば、GAFAMのような巨大IT企業に対する規制・解体シナリオです。
この手の規制・制度変更に関する不確実性は投資に付きものです。
そのくせ、一度起こってしまうと破壊的な影響をもたらし、投資リターンに致命的な影響を与えます。
もちろん、GAFAMも潤沢な資金を使ってロビー活動を展開して、
自社の利益を守ろうとしています。
しかし、
- 一体、どれくらいの確率で規制・解体が実現してしまうのか
- 実現した場合、どれくらい投資リターンに影響があるのか
これを推計するのは極めて困難です。
鉛筆を舐めまくれば数字は出てくるかもしれませんが、
意思決定に役立つ意味のある数字だとは思えません。
こうした不確実性は、GAFAMだけでなく、あらゆる分野に偏在します。
そして、より遠くの未来を見通そうとするほど、不確実性の霧は深くなります。
もちろん、20年後、30年後もテクノロジーが成長の主役であると、私は考えています。この傾向は近年、加速度的に早くなり、今後もさらに早くなるのではないかと考えます。
ただ、本当に、何が起こるかわからないのです。
実は今、私たちが立っている地点が様々な技術における成長限界であり、
今後、超長期間に渡って私たちに待っているのは「停滞」だけかもしれません。
人類は今、技術の頂点にいて、「行き止まり」に達してしまった可能性もゼロではありません。
(もちろん、そんな可能性は低いと信じていますが)
そうなった場合、今のテクノロジー企業のバリュエーションは正当化されないでしょう。
さっさと成長株は売るべきです。代わりに、オールドエコノミーの株を買うべきです。
バリュエーションが低い上に、世界の人口増加に伴って緩やかながら利益成長が望めるでしょう。
…こうした不確実性を考えた場合、数字で測れるものを超えて「分散」を志向するのは意味があることだと思います。
S&P500には、過去のレコードを見ると成長性が低い or 安定しないセクターが含まれています。
次のグラフをご覧ください。
これはS&P500に含まれる企業の、セクター別のEPSの推移です。
出典:yardeni.com
https://www.yardeni.com/pub/peacocksp500.pdf
この表から私は、次のことを読み取ります。
- EPS成長の速度(水準)・安定性共にヘルスケア、ITセクターが飛びぬけている
- その他のセクターは成長速度が遅いか、不安定か、危機に弱いという特徴が見られる
これだけを見るのであれば、ヘルスケアとITセクターだけに投資しておけばいいのです。QQQとか、めっちゃいいと思います。
(もちろんこれは利益であって価格ではないので、株価の安定性とは別なのですが、、)
…それでもなお、S&P500という幅広いセクターに投資をする意味を見出すとしたら、
先ほど申し上げた「不確実性」なのです。
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「信じるものに多く賭ける」
ここまで読まれた方は、「じゃあどうしろっていうんだよ(怒)」と感じられているのではないでしょうか。
以上を踏まえた、今の私の結論はこうです。
「信じるものに多く賭ける」
これです。
私は、これからもテクノロジーのような成長分野が成長し続けると信じています。
特に、GAFAMのような高い参入障壁を築いたトップ企業が当面は優位性を維持しつつ、TSLAのような「次のGAFAM」がこれを追っていく展開を信じています。
この点については、あまりグダグダ書いても仕方ないでしょう。
人によって、どんなストーリーを信じているかはまちまちです。
そのうえで、私はこれらに「多くを」賭けたいと思います。
つまり、投資枠が100あれば、少なくとも半分以上はこれらに賭けるということです。
具体的な商品としては、QQQやFANG+インデックスを対象とした投信をメインに据えます。
ただし、買う時期は分散させます。長期的には成長すると信じてますが、短中期的にはガツンとやられる可能性も十分ありそうですからね、、てか、先日やられましたしね。
おまけで、QQQが対象としているNasdaq100インデックスと、S&P500の比較も載せておきます。
ITバブルの時期を見ると、時期の分散の重要性がわかるでしょう。。
まぁそれでも、急騰時の貯金もあってS&P500には勝っている時期が多いですね。
(もちろん、切り取り方にもよりますが)
ついでにもういっちょ、過去のバブルの比較です。
この図を見て思うのは、
- 成長、ないしは期待には賞味期限があり、永遠の一本調子の値上がりはない
- それでも、一度は鈍化したディズニーやナスダック100指数も、今は株価がバブル当時の最高値を余裕で超えている
i.e. 真に競争力のある銘柄は長期投資の対象になり得る - ただしJapanease Banks、テメーはダメだ
i.e. すべての”流行り物”が成長軌道に戻れるわけではない
…ということです。
先日の急落でも改めてわからされたとおり、QQQもFAANG+Mも買われ過ぎの状態でしょう。
その意味では、上記の折れ線グラフがカクっと逝っちゃう可能性はあるんだろうなぁと。現在、「ほぼ逝きかけました」で終わるシナリオとのせめぎ合いでしょう。
一方で、長期的に積立するなら今からの投資でも芽があるんじゃねーの?というわけです。
そしてなにより、投資の帰着するところは、「賭け」です。
将来の不確実性を排除できない以上、自分で考えて「より可能性が高い」と思えるシナリオに多めに賭けるしかないと、私は考えます。
そのうえで、逆を突かれたときのために、S&P500にも投資をします。
ちょうど私はつみたてNISAでS&P500に投資をしています。
これは時間軸の観点からも打ってつけと言えます。
超長期の不確実性の高い枠においては、S&P500のような「潰しの利く」ものに投資をするといいでしょう。
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不確実性の先を見極め続ける
一方で、自分が「実現の確率が高い」と踏んだシナリオが、本当に実現しそうかを見極め続けることも必要でしょう。
言い換えますと、不確実性の霧の先を見通そうとする努力を続ける、、ということです。
一口に不確実性と言いましても、人によって霧の濃さや見通せる範囲は異なります。
と言いますのも、知識やスキルはより良い視界をもたらしてくれるからです。
ウォーレン・バフェットは優れた視界を持っている
そうした文脈で言いますと、
ウォーレン・バフェットは、人よりも不確実性の霧の先を見通す能力がずば抜けて優れた投資家なのではないでしょうか。
そして、自身の「確信度」が高い銘柄に対しては集中的に資金を投下し、
短期的なノイズには惑わされずにシナリオが実現するのを待ち続ける。。
その直近での成果が、APPLの躍進でしょう。
今はPEが30倍以上になっていますが、まだPEが10倍台をうろうろしていた時期からずっとホールドしてきた成果なのだと思います。
その一方で、「考えていた未来が実現しそうにない」と思ったら、
自身の戦略を改めてポートフォリオにおける確信度の振り分けを見直す柔軟性も見習いたい点ですね。。航空株の売却が、いい例です。
本方針における論点
彼のようになるのは難しいですが、
その姿勢を目指して努力することは続けていきたいと思います。
と言いますか、「この考え方って、この観点からするとどうなんだろう」という疑問はすでにたくさん湧いておりまして、そのあたりを考慮したうえで、なお、賭けてみたいと思った次第です。
例えば、次のような論点です。
現状の大型グロースのバリュエーションは妥当なのか?
これは、先日の記事で書きましたね。
要は、
- AAPLを始めとした大型グロースのバリュエーションが拡大中
- 適正水準はわからないが、直近の底から2倍程度まで拡大
- 過去の経験則からすると、ここらで調整を挟んでも不思議ではない
(この文章を書いている間に急落したので、これは実現済み)
…といったことです。
ただ、これと「GAFAMが長期で投資対象たり得る」という話は両立するかと。
長期的には魅力的であると考えるならば、
投資時期を分散させて足元の高値掴みのリスクを避けるのが賢明でしょう。
そんなにGAFAMが良いなら、レバ掛けたやつを買えば?
これも本当に悩ましい。。リターンの期待値的にはとても魅力的ですからね。
ただ、やはり大きく下がったときが怖い。
こちらの記事でも書いたのですが、
大きく下落すればするほど、それを取り戻すのに必要なリターンは大きくなります。
▲50%下落したら、+100上昇しないと元に戻らないという話ですね。
もちろん、うまく売り抜けて一攫千金もあり得ます。
実際にそうして資産を大きく増やされている方もいます。
しかし、結果から意思決定の良し悪しを判断することはしたくない。
可能性として、1日で60%(レバ3倍の場合)の資産を失うリスクを、私は負いたくない。理由はこれだけで充分だと思います。
まぁ、サテライトでちょろっとやる分には、私もいいかなと思いますが、、
それこそ「現状のGAFAMの繁栄」という結果を見て意思決定しているのではないか?
これも悩ましい。
私は単に過去を見て意思決定をしているだけで、将来を見ているわけではないのでは?
「GAFAMは成功した。だから、GAFAMに投資する」
「GAFAMはこれからも成功する可能性が高い。だから、GAFAMに投資する」
両者は似ているようで、大きく異なります。
前者は単にバックミラーを見ながら後ろ向きに前へ進んでいるに過ぎません。
(本質的に、人間は将来に対してこうした姿勢しかとれないのかもしれませんが、、)
一方で、後者は曲がりなりにも自分で考えて、将来の可能性の高いシナリオに賭けようとしています。
こればかりは、実際に将来になってみないとわからない。
ただ、言えるのはそのためにヘッジとして、長期枠でS&P500 に投資をしたり、
GAFAMへの投資も時間軸の分散や、適宜の戦略の見直しを図っていこうというわけです。
できることは、可能性が高いと信じるシナリオに賭けて、逆を突かれる可能性にも準備をしおくことくらい。
あとは、実際に自分が誤っていたと分かったときに、自分を否定して軌道修正することを素直に受け入れられるかどうか、、ではないでしょうか。
ニフティ・フィフティ、、歴史は韻を踏むって言うよね
1970年代、ニフティ・フィフティという優良大型株が持て囃された時代があったそうです。
永遠に伸びる塔などなく、最後は無残に崩れ落ちたそうな。
今の状況は、これとオーバーラップするという意見を目にします。
これに対しては、声を大にして言いたい。
そうかもね、と。
ただ、GAFAMの優位性や参入障壁を考えれば、
今日明日どうのという話ではないと思う。少なくとも、2~3年でひっくり返るものではないだろうと。
株価の行き過ぎって意味じゃ、さらなる調整が待っててもおかしくないですが。
もちろん先述した規制・解体シナリオのような不確実性も否定できない。
ただ、これも「だから投資できないよね」ってことではなくて、シナリオが実現したときに素直に負けを認めて資金を引き揚げることまで想定できているかって話かなぁとは思う。
今のGAFAMよりも、次のGAFAM狙った方がよくない?
そう思う。
もちろん、GAFAMだって成長するでしょう。
彼らは世界有数のグローバル企業です。世界の人口増加の恩恵を享受して、既存のビジネスを伸ばしていくでしょう。
また、ビジネスの領域自体を広げることで飛躍的な成長を遂げるでしょう。
最近のFaceBookのEコマース強化がよい例ではないでしょうか。
さらに、成長分野のライバルをM&Aで買いまくってます。
ただ、もともとの事業規模がバカでかいだけに、
爆発的な成長を遂げる中小グロースの成長率を超えることは難しいでしょう。
本音を言えば小型爆益投資もしてみたいのですが、いかんせん、個別株には投資できない身。また、私自身に、そうした企業を見極める目があるかどうかに自信がない。
ですので、そうした分野はETFでカバーしたいと思います。
リターンの期待値は個別株よりも下がるでしょうが、気持ち的にもこのほうが気楽でいいかもです。
最後に
…というわけで、くっそ長々と書いてまいりました。
自分の意思決定の記録も兼ねているからね。仕方ないね。
正直、今の状況がいつまで続くのかなんてさっぱりわかりませんが、
続く限りは乗っかってまいりたい思います。結局、日和見かよっていう気もしますが、、(笑)
本記事を読んでいただいて、もし感想やご意見あられましたら、教えていただけると、とっても嬉しいです。
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