本日は、普段とは毛色の違った本をご紹介したいと思います。
こちらです。
『損する結婚 儲かる離婚』著:藤沢数希
内容的に「結婚」「金融」に関する話題でしたので、
幅広い文脈で言えば「資産形成」の一部やろ(適当)
という発想でございます。一応、このブログは資産形成ブログですからね。
払われるかわからない高配当ETFに投資するブログではないのです。
独り身の自分としては、結婚に関する金銭的側面も気になる次第でして、
この本は、特に離婚時に発生する金銭的権利義務に焦点を当てています。
ちなみに、「なんかブログみてーな内容の本だなぁ」と思って読んでいたのですが、
著者の方は有名なブロガーの方なんすね。読んだ後で知りました。
あと、本の内容もかなり「人を選びそうな」ものです。
私は特に著者の方の意見等に賛同しているわけではなく、
「こういう法制度があって、こういう捉え方もあるみたいですよ」という程度の話をするだけですので、あしからず。
もともとの内容からだいぶ「アク抜き」したつもりですが、
結婚・離婚を金銭的側面から見ることに抵抗のある方は、今すぐブラウザバック推奨です。
結婚とは毎月分配型の特殊債券である
著者の方は金融系だったようで、このような主張をされています。
発想としては、ユニークだと感じました。
※ 結婚をある一面から捉えた場合に、そうした考え方がある、、ということですよ?
結婚のすべてが金銭的価値に収斂するという話ではないと思いますよ?
つまり、
婚姻契約を結ぶことで、一方がもう一方に対して金銭を払う義務が生じる
こういうことのようです。
特に、離婚の際にこのような性格の権利義務が発生するそうです。
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離婚時に発生する3つのお金
離婚時には、主に次のような権利義務が発生する可能性があるようです。
- 慰謝料
- 財産分与
- 婚姻費用
このうち、「浮気された」「暴力を振るわれた」などの相手の非に関係するのは、
慰謝料のみです。相場は100~300万円みたいですね。
他の2つは、「相手が悪い」云々とはまったく関係ないロジックで算定されます。
婚姻費用ってなに?
いわゆる「コンピ」です。初めて聞いたわ。
乱暴に言うと、
「結婚したら、生活費は収入の多寡に応じて分担しようね!」
という趣旨のものです。
より率直に言うと、「収入の多い方が少ない方を養う」という前提のものです。
厳密には子供有無や収入等で金額が変わるようですが、
便利なマトリックス表があります。裁判所が公表してくれてるんすね、、
例えば、
自分が年収600万円、
相手が年収100万円、
子供が1人の場合、
婚姻費用は月当たり10万円~12万円になります。
自分の年収が1,000万円の場合、ほぼ倍の月当たり18万円~20万円です。
なお、これは男だ女だに関係なく、収入の多い方が少ない方に払うものです。
支払額の分布図もありましたので、掲載しておきます。
30万円ちかくになるケースも、結構あるじゃないか(畏怖)
出典:離婚弁護士ナビ
https://ricon-pro.com/columns/415/
婚姻費用はいつから、いつまで払うの?
で、この婚姻費用はいつからいつまで払うものなの?
そこが気になります。
まず、支払いの開始は、
家庭裁判所へ調停を申し立てて、金額を算定してもらってから
のようです。
その前に夫婦間で話し合いが付けば任意の金額になるみたいですが、
それが難しい場合は先ほどの算定表によって計算されます。
この手続きを経ると、権利を有する方(収入が少ない方)は、
義務を負う方の預金や給料等を差し押さえることができるそうです。ヒェッ…
で、いつまで払うかと言うと、調停や裁判が終わるまでです。
それはどのくらいかかるのかと言うと、2‐3年かかるのは「よくあること」だそうです。
参考:多治見ききょう法律事務所『離婚にはどのくらいの期間がかかるのか』
先ほどの例で言えば、終結までに婚姻費用だけで300~900万円くらい払う可能性があるわけです。
仮に自分の年収がもっと高かったり、裁判が長期化した場合は1,000万円~2,000万円となるケースもありそうです。
この点をもって、著者は「毎月分配型の特殊債券だ」と言っているわけですね。
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財産分与
もう1つ、財産分与というものもあります。
これは、
結婚してからお互いが築いた財産を、均等に分ける
というものです。
例えば、結婚後に、
- 自分が1,000万円を稼いで貯金して、
- パートナーが200万円稼いで貯金した場合、
- 自分からパートナーへの財産分与は400万円になる
※ (稼いだ総額1,200万円÷2)-パートナーの稼ぎ200万円
…となります。
これは離婚成立後に払います。
こういった計算方法ですので、
片方が家事・育児等を担当、もう片方が仕事をしてお金を稼ぐ、
こういった役割分担がはっきりした体制ですと、
財産分与の金額は多くなるようです。
なお、結婚前にお互いが持っていた財産は関係ないです。
あくまで、「結婚後に築いた財産」というのがポイントです。
3つのお金に関する義務を総合すると、、
そんなわけで、先ほどの「債券」の文脈で言えば、
財産分与は慰謝料と併せて「満期支払金」になる、、ということのようです。
で、婚姻費用は「期中のキャッシュフロー」というわけですね。
まとめますと、
結婚債券の価値=離婚成立までの婚姻費用の総額+離婚時の財産分与額+慰謝料
…ということになるそうです。
例えば、
- 慰謝料:200万円
- 婚姻費用:総額1,000万円
- 財産分与:800万円
このくらいだったとすると、総額で2,000万円程度になるわけですね。
知識としては知っておいていい
というわけで、さらに自分の婚期が遠のきそうな話でした。
「そもそも結婚をこういう観点から見るのもどうよ」
そんなご意見も聞こえてきそうですが、、
あくまで知識として知っておくにはいいのかな、と思いました。
「婚姻費用」で検索したら、検索ワードのサジェスチョンに「地獄」とか出てきますんで、、
ただ、この本自体はこの婚姻費用に関する第一章だけでお腹一杯でした。
第三章の「芸能人の結婚・離婚に関するケーススタディ」なんかは、
さすがに下世話過ぎて見る気になれませんでした、、
とは言え、結婚に関する法律の実態や、その根拠となっている考え方を知るには良い機会でした。
皆さんにもおすすめ、、とは言いづらいのですが、
気になる方は図書館かなんかで第一章だけでも読まれてはいかがでしょうか。
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