資産形成の灯台

投資・投機との関わり方に関する思索を垂れ流すブログ。

【ナンピンNG】ヤバイ相場で資産を守るためにとるべき行動とは?

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どうも。くじらです。

今日は、今のような相場で資産を守るためにどう行動すればよいかについて、私の考えを書きたいと思います。

と言うのも、TwitterのTLを見ていると、既に局面が変わりつつある中で、去年までと同じ行動パターンをとっている(と思われる)方が結構、見受けられたからです。

例えば、環境系などの昨年好調だったグロース株をナンピンで買い増すような動きで、
個人的には、これはかなり「賭け」に出ている行為だと感じます。

人の投資手法に口出しするのは本意ではないですので、あくまで「こういう考え方もありますよ」ということで、自分の考えを述べます。

 

 

既に市場の局面が変わっている

金利上昇によるバリュエーションの否定

既に低金利という前提が崩れている。この点は、いまさらグダグダ説明する必要はないと思う。考えるべきは、べらぼうに過大評価されたグロース株のバリュエーションの否定だろう。

これまでのグロース株の株価上昇は、「当面は金利が低水準に保たれる」ことを前提にしたものだった。これは、バリュエーション時に現在価値に引き直すときの割引率が低く済むことを意味する。企業のEPSの成長とは別ベクトルで、株価を押し上げることになる。

 

この前提のもと、特に「夢のある」銘柄ほどに極めて高水準の株価が成立していた。

今はもう、こうしたバリュエーションに頼った株価上昇は期待できず、何でも上がるという局面ではなくなってしまった。今は、このバリュエーションが適正水準(か、行き過ぎてそれ以下の水準)まで引き戻されつつある状況と理解している。

そして、再び元の水準に戻るには、EPSの成長か、再度のバリュエーションの拡大しかない。

 

バリュエーションの拡大には、パウ爺による救済が必要だが望みは薄い。同議長は金持ちを救済するつもりはなく、ちょっとグロース株が下がったくらいで緩和を拡大する可能性は限りなくゼロに近いと思う。そうなると、EPSの成長と共に株価も成長するのを待つか、次の金融緩和局面を待つしかないのだが、これはなかなか気の長い話である。

投資家行動の変化、続かない買い需要

こうした環境変化を受けて、投資家の行動も明らかに変わりつつある。昨年は「とりま落ちたら拾えばOK」という投資行動が報われ続けた1年だった。それは、上記のような低金利を前提に買い続く投資家が実際にいたことを意味する。

 

この点は、極めて重要だと思う。

私たちが株を買った後に値上がりしてくれるには、後から買い続く人がいなければいけない。上記のような環境変化は多くの投資家が感じているところと思われ、昨年のように楽観的な雰囲気は消し飛んでいる。特に、わざわざ最も懸念されている分野の株に突撃するのは、相当に躊躇われるはずだ。キャリアリスクのある人々は、上司や資金の出し手に説明がつかないんじゃないかと思う。

あなたの次に買ってくれる人はいないかもしれない。

 

実際、最近のQQQを見ていると買い手よりも短期のショート勢の方が圧倒的に多いんだろうなと感じる。たまに反発しているのも、単にショートカバー(買戻し)で上がっているだけだろうと思う。てか、本当にこのチャートの形、ひどすぎやしませんかね。

 

求められる行動も変わっている

バリュエーションの縮小に対応した行動が必要

先述の通り、銘柄によっては中長期的に価格が戻らない可能性がある。特に昨年好調だったグロース系の個別株、セクターほど、この懸念が強い。

 

このバリュエーションの縮小がいつまで続くかわからない以上、今、買い増す理由がない。

せめて、どこまで下がるかを見極めてからでも遅くないと思う。今は、「今買わなきゃ、すぐに高くなってしまう」といった心配をする局面ではなく、いかに自分の資産を守るかを考えた方がいいと思う。

 

敢えて買うのであれば、昨年でさえバリュエーションがイマイチで、この金利上昇局面でも「もとから過小評価なんでダイジョブっすよ」とかいう前向きか後ろ向きかわからないセクターのほうがまだ無難と思う。エネルギーとかっすね。

もしくは、金利上昇で恩恵を受ける金融セクターとかか。どちらにせよ、ここのところは短期的に過熱感も見られるので、いきなり全力買いとかは止した方がいいと思うが。

なんにせよ、無理にいつ戻るかわからんものを買わなくても、別の選択肢だってある。自分の今の持ち株に拘らず、一旦、頭をリセットして何が最善かを考えてみてもいいと思う。

必要なのはナンピン買いではなく、ポジション縮小とヘッジ

もうちょい具体的に言うと、ポジション縮小とヘッジをするのが良いかと思う。タイミング的には既にだいぶ遅いとは思うが、今後も必要なことなので…

少なくとも、上述のような背景があるのでグロースのナンピン買いはお勧めしない。

ヤバい時に取るべき行動として、ミネルヴィニ氏のツイートが非常に参考になると思うので引用させていただく。

 

 
氏に倣い、私が「ヤバ味」を感じるにしたがってとる行動を箇条書きにすると、

  • ボラティリティの高い銘柄からポジションを縮小する。
    特にレバレッジETFやら、足許の調整で弱いセクターなどは真っ先に閉じる。
  • 「長期枠」以外の銘柄は、一部を利確or損切りする。
  • 下落が続くようなら、ショートカバーっぽいときにヘッジを入れる。
    まずは長期枠のロングの1/3くらいをカバーできるくらい。
  • ヘッジと同時に、弱いセクターと相関が逆の商品があれば、それもヘッジ代わりに買ってみる(少しずつ!)。今回なら債券ベアのETFであるTMVとか。
  • それでも下落が続くなら、長期枠以外は全ポジションを閉じて、ポートフォリオが下落でも上昇でもほぼ動かなくなるまでヘッジを入れる。

…と言う感じだ。

「売ったら反発を逃すんじゃないの?」

ここまでいってしまうと、「反発局面で利を逃すのでは?」という懸念もあるかもしれない。

 

気にしなくていいと思う。

それよりも、資産をリスクに晒している方がよっぽど問題だと、私は考えている。以前の記事にも書いたとおり、「一度大きなドローダウンを食らうと、復活は容易ではない」からだ。

 

www.lighthouse4you.com

 
特に、40~50%のDDとかマジでシャレにならない。復活のためには、資産を100%伸ばす必要があるわけだが、その反発局面とやらでどれだけカバーできるのだろうか。そういった心配をするよりは、いかに早く、自分の過去の判断の過ちを認めてロスが小さいうちに切る仕組みを作るかを考えた方がいいと思う。

もう一回、コロナ緩和相場のように、速攻で救われる環境が整うことを期待するのは分が悪いと思う。

 

少し言葉が過ぎるかもしれないが、「市場に居続けないと機会を逃す」的な言葉は、多くの投資家に要らぬ損を生じさせているのでは?と思ってしまう。特に、格言的な発信をして、どんな投資家にも当てはまるような印象を持たせてしまうのは、ガチで危ないと思う。

これがワーク「しやすい」のは、「長期」で「勝率が高い」戦略を採っている人だけだ。例えば、インデックスの積み立て投資などは、むしろ気にせずに積み立てを続けるべきだと思う。

 

しかし、とくに個別株の場合は別だ。「長期」における「勝率の高さ」は、その投資家のリサーチ力に依存する。こうした能力を持つ投資家は基本的に稀だと思う。

というか、ナンピンをしている投資家でこうした能力を有する方は、100人に1人もいないのではないかと思う。ナンピンを実行するには、自分が考える時間枠の企業の成長を考慮して、今の株価が割安であると判断されなければならない。でなければ、今、買う理由がないからだ。こうしたことを実際に考えて買い下がっている人は、ほとんどいないと思う。(短期のテクニカルな反発狙いとかは別ね)

株式市場はランダムなフィードバックが行われる場所である

ちなみに、ナンピンを続けていても「報われてしまう」こともある。株式市場はランダムなフィードバックが行われる場所だからだ。つまり、質の悪い意思決定に対して、必ずしも悪い結果が返ってくるとは限らない。リンゴを落としたら地面に向かっていく、、といった再現性のあることばかりが起こる場所ではないのだ。

 

そして、このたまたま助かったパターンが一番たちが悪く、投資家は誤った学習をすることになる。「そうか、下がったら脊髄反射でナンピンしときゃいいんだ!」と。そして、リンゴが落ち続けるのを見ながら、それが空に向かってすっ飛んでいくことを期待し続ける羽目になる。

 

要は、これは「結果」ではなく、「意思決定の質」の問題なのだ。「結果」を見て「よかったよかった」ではなく、その時々において、自分の資産を守るために最善の行動を採れたかどうかを評価しなければならない。

…と、ここまで書いて、親戚で東電の株を握り続けていた人がいたのを思い出したので、例として適切かどうかわからんが、株価の推移を張っておく。うまくいかなかった場合の世界線である。

 

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生き残るには多様な武器と「変化を受け入れる心」が必要

2つの「売り」に対するアレルギーを取り除く

以上のようなことを実行するには、そもそもポジションを縮小、、持ち株を売ることや、ヘッジ、、つまり、ショートすることを覚えなくてはならない。このことについては、以前の記事でも書いた。

 

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私の勝手な印象だが、この2つの「売り」に抵抗感を覚えている方は少なくないように思う。売りは、悪いことではない。むしろ、自分の金を守るための、極めて有効な手段だと思う。と言うか、片道切符のロング一本で資産を守るとか無理ゲーである。よっぽどのドMゲーマーでない限り、縛りプレイで自分の限界に挑戦しなくていいと思う。

 

そら、最初は往復びんた食らって「むしろやらないほうがよかった!」ってこともあると思う。でも、そんなのは必要な学習コストであって、必要悪だ。

 

ともかく、武器は多い方がいい。単純なポジション縮小やショートも良し。株式以外の商品、、債券やコモディティなどに投資対象を拡げるも良しである。なんとなく、ナンピンに走ってしまうのは、それ以外に自衛(?)手段を知らないからではないかと思う。

 

また、ショートを覚えるのには副次的なメリットもある。ショート勢の気持ちが(ほんのちょっと)わかるのだ。「チャートパターン的にここを割ったら売り崩せそうだな」とか、「まだボリンジャーバンドの半ばだし、下げる余地残ってそうだな」とか、「3日連続でこれだけ下げたから、そろそろショートカバーかな」とか、そういったロングだけでは見えづらい視点から、株価を見ることができるのだ。

 

ロングしかやっていないと、どうしても発想が「下げたから反発するんちゃうか」という「上げ目線」に偏ってしまうように感じる。

 

しかし、マーケットには別の観点から株価を虎視眈々と眺めている人がいることを理解すると、安易に飛びつくことも減ると思う。戦略を多様化するとは、自分の中に様々な視点の人物を内包することに他ならず、特定の考え方に偏った判断を減らすことができる。

自分の過去の判断を否定することに躊躇しない

あとは、自分が過去に下した判断を否定することに慣れるのも必要かなと思う。
ちょっと恥ずかしい話なのだが、自分には朝のルーティンがある。朝、引け前の株式市場を見る前に、心の中で「私は、自分の過ちを認めることができる」とつぶやくのだ。

なんでこんなキモイことをするかと言うと、自分の過ちを認めるのが嫌で、傷んだポジションを切るのを躊躇ってしまうからだ。この手の心理的なプロテクションは結構、重要だと考えている。ミソは、必ず株価を見る前にやることだ。先に冷静かつ現実的な判断をできる状態に頭をしたうえで、(ヤバいかもしれない)現実を見て、向き合うのだ。

真っ赤だと一瞬、汗が噴き出るのだが、すぐに頭が冷えて「今、最善な行動は何か」を考える余裕が生まれてくる。

 

もう少し、例を挙げる。さっきのフィードバックの文脈で言うと、仮に長期的には「正しい」選択をしたとしても、短期的に「誤った」フィードバックが返ってくる場合だってある。今回のケースで言えば、金融緩和で実力以上に株価が押し上げられて、その反動で実力以下まで株価が押し下げられるかもしれない、、といったことだ。仮に、「自信があるから、この銘柄は持ち続けるぞ」といった銘柄でこうしたことが起きたらどうするか。

 

そういった場合は、一時的に売ればいいと思う。わざわざ、株価が「割安」になるまで付き合う必要はなく、例えば半分だけでも売って資産の減少速度を緩やかにすればいい。

 

以上のようなことは、「柔軟性」というキーワードで語れると思う。常に変化し続けるマーケットで生き残るには、多彩な武器と、それを使いこなす柔軟な発想が必要なのだ。そういや、ハワード・マークスも日本の「諸行無常」の概念を学んで、マーケットとのアナロジーを感じた的な話を何かで読んだ。

 

…と言うわけで、資産を守るにはどうするべきかについて書いてみた。私自身も修行中の身なので、人様に偉そうに語れる立場にはないが、もしかしたら誰かの役に立てるかもと思って筆をとった次第だ。

これを書いている3/6時点では、まだ来週のマーケット怪しくないですかね的な感じなのだが、何とかこの調整を乗り切れればと思っている。ちなみに、ミネルヴィニ氏も「まだ調整終わったか確信ないわ」的なことをツイートしてたので、やはりそれなりに難しい局面なんだと思う。ほんと、そろそろ上がってくれ(結びのお祈り)

 

参考図書

今回書いたようなことは、グロース株投資の本でも学べます。と言うのも、著者はグロースで得られる利益だけでなく、その反動で被るかもしれないクソデカ損失にもしっかり向き合っているからです。

個人的に買ってよかったと思うものを、いくつか掲載しておきます。

 

 

 

 

 

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