インデックス投資と高配当株投資、どっちがいいの?
この記事は、そんな疑問を持っていらっしゃる方におススメです。
私自身、最近このテーマについて考える機会があったものですから、
偉大な先人たちの考え方などをまとめた結果を、
皆様にもシェアさせていただく次第です。
なお、私自身にどちらが「正しい」とか、「こうするべき」とか、
そういったことを言うつもりは毛頭ございません。
メリット・デメリットを理解したうえで、個々人が判断を下すべきものですし、他人のスタイルに口出しすべきものではないとのスタンスです。
結論:目的次第だよ!
はい。元も子もないですね。
ただ、考えれば考えるほど、「どっちが優れている」というよりは、
「目指す場所が違う」ということだと感じております。
まず、大きな目的の違いがあります。
- インデックス投資は、資産総額の最大化を目指す
- 高配当株投資は、キャッシュフローの最大化を目指す
さらに、個別論点として、それぞれ次のような方に合った投資手法だと考えます。
インデックス投資
- 理論的な最大パフォーマンスを追求したい!
- 出口以外は手間を掛けたくない!
- 買いのタイミングで悩みたくない!
高配当株投資
- キャッシュフローが欲しい!
- 心理的な安心感・投資効果の実感が欲しい!
- 企業分析とか好き!投資戦略を考えるのおもしろい!
- 売りのタイミングで悩みたくない!
全然違いますね。
トータルリターンだけ考えればインデックス投資ですが、
それ以外の観点から、高配当株投資を選択する方がいらっしゃる、、と言ことですね。
メリット・デメリット比較
では、より具体的に掘り下げていきましょう。
インデックス投資とは?
このブログを見て頂いてる方は、あまり解説の必要はないと思いますので、
さらっと行かせていただきます。
インデックス投資とは、日経平均やTOPIX、S&P500、ダウ平均のような株価指数(インデックス)と同じ値動きを目指す投資方法のことです。
例えば、日経平均が5%上昇したら、自分の資産も同じく5%上昇するような投資方法です。
出典:わたしのインデックス
https://myindex.jp/study/index_about.html
メリット
インデックス投資のメリットは、次の3点です。
- 特別なスキルが要らない
- 市場平均と同じパフォーマンスを得られる(6-7%)*
- 利益の多くを再投資&複利の恩恵を享受
- 買いのタイミングは積み立て方式でOK
*米国株の過去のパフォーマンスを想定。
「素人でもいきなり、投資のプロの平均と同じパフォーマンスが得られるよ!」
…というのが、端的なメリットでしょう。
この低金利の時代に、6-7%は十分すぎる数字です。
(毎年安定して6-7%ではなく、長期的に均すと6-7%です。為念)
大抵のインデックスファンドはコストが激安です。
コストが掛からない分、プロが運用する大抵のアクティブファンドよりも、
高いパフォーマンスが得られます。
そして、高配当株投資に比べて、企業が稼いだ利益の多くは、
次の成長のために使われます。
配当をして利益を社外へ流出させるよりも、より早いスピードで企業価値を高めることができます。
つまり、投資家の資産総額も早く成長していくわけですね。
なお、高配当株投資でも配当を再投資することで、似たような効果は得られます。
ただし、その際は受取配当金に対して課税されます。
その分、再投資額が減り、インデックス投資よりもパフォーマンスが劣後してしまうでしょう。
そして、買いのタイミングにいちいち、悩まなくていいのも大きなメリットです。
高配当株投資は「買いのタイミングがすべて」とおっしゃる方もいます。
キャッシュフローの最大化が目的ですので、株価が高くて利回りが低い時期に仕込んでも仕方ないのですね。
インデックス投資よりもトータルリターンが低い分、この点は譲れないと考える方が多いのではないでしょうか。
これに対して、インデックス投資は毎月積み立てで買っていれば、相応のリターンが得られるのは大変心強いですね。
もちろん、それを何時如何なる時でも継続するのは結構、難しいのですが、、
デメリット
これに対して、次の5つのデメリットがあります。
- 投資キャッシュフローは常にマイナス
- キャッシュインは(原則)数十年後
- 暴落時に含み益がふっとぶのがつらい
- 人によってはつまらない?
- 出口に心配事がある
順に見ていきましょう。
まず、当たり前ですが投資に関するキャッシュフローは常にマイナスです。
含み益は増えても、実際に現金が入ってくるわけではありません。
また、キャッシュインは出口時点(人によるが数十年後)です。
これを、どう考えるかですね。
人によっては、「老後より今、お金を使いたい!」という方もいらっしゃるでしょう。
そうした方には、向かないかもしれません。
暴落時に含み益がふっとぶのも、精神的に堪えるものがあります。
高配当株投資の場合は常に少しずつ利益確定をしているようなものです。
したがって、暴落時もそれまでの配当金や、現在進行形で入金される配当金が心の支えになるでしょう。
これに対して、インデックス投資はそうしたものがありません。
もちろん、トータルリターンでは暴落時もインデックス投資が勝っている可能性もあるのですが、心理面はまた別の問題だと考えます。
地味な問題(?)として、人によっては「淡々と同じインデックスファンドに投資をしていくのはつまらない!」という方もいらっしゃるでしょう。
まぁ、これは本当に好みの問題ですね。。
出口戦略をどう考えるか
最後に、出口戦略を考える必要がある、、という問題があります。
例えば65歳で積み立てを終えましたら、
「どれくらいのペースで取り崩していくか?」
これを考える必要があります。
「4%ルール」という考え方が存在します。
これは過去の研究結果で、インフレ勘案後でも年4%ずつ取り崩していけば、95%の確率で30年後でも資金が尽きない、、というものです。
こちらのFIRE in Japan様で、詳しく解説されています。
ただ、現実問題としては次の変数も考慮しなければなりません。
- 暴落が来たらどうする?
- 長生きしたらどうする?
まずは、暴落が来た場合ですね。
これは不運としか言いようがありませんが、資産総額がごりっと減る可能性があります。
(年齢が上がるにつれて、債権比率を高めたりはしているでしょうが、、)
そうなりますと、「今後、どれくらい相場の低迷が続くか?」といったことを考えながら、取り崩し額を調整する必要があります。
また、「思ったよりも長生きしたらどうしよう」というのも、
取り崩しペースを考えるうえで重要でしょう。
当然、より長く生きると考えると、毎年使える金額は少なくなります。
こうしたことをリタイア後に考えるのは、個人的にはちょっと大変そうだな、、と思ってしまいます。
リタイア後はなるべく、ハードな意思決定をする場面は避けたいなぁ、というのが、
私の本音です。
とは言え、年がら年中、こうしたことを考えなければいけないわけではありません。
それに、信頼できるFPなど、一緒に考えてくれる人を見つければ心強いでしょう。
(ただし、ぼったくり投信や保険を売りつけてくる似非FPは除く)
高配当株投資とは?
私なりの理解ですが、
- 高配当株を買って、
- 安定的かつ、
- 持続的に、
- 配当を得る投資手法
…というものと考えています。
メリット
メリットは次の4つです。
- 生活改善の実感がある
- 売りのタイミングを考えなくていい
- 若いときと老後で、やることが変わらない
- 暴落時も配当が心理的な支えになる
一番大きいのは、
「定期的にお金がもらえて生活が楽になる!」
これでしょう。
実際にすぐ効果が現れるので、投資の偉大さを実感しやすい。
これがモチベーションとなり、投資自体を継続しやすいのではないでしょうか。
また、基本的に一度買った高配当株は売る必要がありません。
(もちろん、自分の銘柄選定の判断が間違っていた時は売る必要があります)
「買い」と「売り」のうち、「売り」に関する意思決定のプレッシャーを減らせるのは、精神的に助かります。
地味なメリットとして、若いころ(資産形成期)と、老後(資産形成後)でやることが変わらないというのも、大きいでしょう。
やることはずっと1つ、ポートフォリオのメンテナンスだけです。
さらに、高配当ETFなどを活用すれば、そのメンテナンスの必要性さえなくなるでしょう。
暴落時に配当が心の支えになる話は、前述のとおりです。
デメリット
- 一般的にパフォーマンスはインデックス投資に劣後
- 銘柄選定の手間が掛かる
- 分散効果が甘くなる
- 特定のセクターに偏りやすい or 手薄になるセクターがある
- 買いのタイミングがシビア
一般論として、パフォーマンスはインデックス投資に劣後します。
これは、将来の成長の原資を配当として外部へ吐き出しているからですね。
もちろん、銘柄選定の妙などによって、インデックス投資をアウトパフォームする可能性もあります。
しかし、上述のような事情があることから、少なくとも簡単なことではないと考えられます。
試しに、代表的な高配当株ETFであるVYM, HDV, DHS, そしてインデックス投資でバックテストをしてみました。
期間は、2012年から2020年3月末現在までです。
結果は次の通りで、いずれの銘柄もインデックスに劣後しています。
また、銘柄を選定する手間も掛かります。
個別株をやる場合は、企業分析やスクリーニングが必要になります。
ただ、これは好きな人にとってはご褒美(?)ですかね。
また、SPYD等のETFに投資をすれば、手間を掛けずに分散を効かせることができます。
分散効果が甘くなる点もデメリットです。
インデックス投資であれば、手軽に数百社~数千社に分散投資をすることができます。
一方、高配当株投資の場合、分散を効かせれば効かせるほど、配当利回りが落ちてしまいます。
VYM等のETFは数百社に分散投資が可能ですが、個別株のみでポートフォリオを組む場合、現実的に管理可能な数は数十社が限度でしょう。
分散効果と似た話で、セクターの偏りも懸念されます。
一般論として、配当利回りが高い分野は金融、不動産、エネルギーなどの景気に敏感なセクターが多いです。
そのため、セクターに配慮しながらポートフォリオを組まないと、
「なんかえらい不動産に偏ってんな」みたいになります。
また逆の話として、「成長分野であるハイテク株が一切ない」といったことも考えられます。
まぁ、この点は高配当を取るか、高成長を取るかのトレードオフかもしれませんが。
最後に、「買い」のタイミングですね。
これはインデックス投資のメリットで述べたので割愛します。
こんな疑問が湧くのだか?
と、ここまでメリット・デメリットを説明してきました。
ここからは、私自身が抱いた素朴な疑問と、
それに対する私なりの考えを書きたいと思います。
インデックス投資で一定額ずつ取り崩したら?
「インデックス投資をしつつ、ちょっとずつ取り崩せばよくね?」
たまにネット上でも見る気がします。
理屈としては、6-7%で回るのだから、そのうちの数%を、
毎年取り崩せばいいのでは?というものです。
この話は先述の出口戦略とは別です。
資産形成期においても、毎年、あたかも配当のように資産を自ら取り崩す、、という話です。
これについては、個人的な感覚として、、
「キャッシュフローを狙うなら、シンプルに高配当株投資の方がいいなぁ」
と、思っています。
理由は2つありまして、
- 管理の手間が掛かる
- 「取り崩す行為」自体が精神衛生的に良くない
ということです。
まず管理の手間ですが、
おそらく市況に応じた資産の増減に応じて、
「今月(今年?)はどれくらい取り崩そうか」
みたいなことを考えていくのかなぁと思います。
先述の4%ルールのように、淡々と一定の比率で取り崩していくこともできるとは思いますが、「このままのペースで取り崩して、老後の資金は確保できるのか、、?」といったことが気になるのが人情でしょう。
そうなると、やはり出口戦略の時と同じように、
シミュレーションの手間や精神的な負担がかかるのではないかなぁと思うのです。
そして、
暴落時にはそもそも「売る」という行為自体が精神的によろしくありません。
インデックス投資家にとってご法度である「暴落時に売却」をすることになります。
(これも柔軟に取り崩しを止めればいいのかもしれませんが、、)
以上のようなことを細かく考えるの、面倒くさくありません?
私がものぐさなだけかもしれませんが、
「だったら、高配当株投資でよくない、、?」
と、思ってしまいました。。
(まぁ、インデックス投資家でこうした資産の取り崩しをされる方自体がレアだと思いますが、、)
あと、これも個人的な感覚ですが、
そもそも「取り崩す」「売る」という行為自体に抵抗感があります。
配当も利益を吐き出しているには違いないのですが、
こちらのほうが違和感なく受け入れられるし、
精神衛生的によいと感じます。ふしぎ!
インデックス投資→老後に高配当株投資へシフトしたら?
2つ目は、
「インデックス投資で資産額を最大化した後に、高配当株投資へシフトしたらどう?」
というものです。
なんか、これも「いけそう」って感じがします。
…しますが、結論としては、
「やっぱり、最初から高配当株投資の方がいい」
となりました。
理由は3つあります。
- 老後にタイミングを計るのは、リスクでは?
- 資産形成期とは別のスキルが必要になる
- 心理的なハードルが高い
まず、老後にタイミングが重要な高配当株投資をする、、ということ自体がリスキーに感じます。
先述の通り、高配当株投資はタイミングが命です。
せっかく、65歳までせっせと積み立て投資を続けて成功したのに、
そこからさらに関門が待ち受けているのかよぉ!というのは、
なかなかつらいと感じます。
また、市況タイミングの見極めや銘柄分析など、インデックス投資とは異なるスキルが老後に必要になる、、というのもマイナスポイントです。
少なくとも、老後にぶっつけ本番で高配当株投資を始める、、というのは無しでしょう。現役時代もインデックス投資+高配当株投資で、スキルを養う、、といったことが必要そうです。
そして、現実的にこれらを実行できるか、、?という心理的なハードルがあります。
正直、こんなに頭の中で考えた通りにうまくいくのかな?と思ってしまいます。
こんな人におススメ!
以上を踏まえると冒頭に述べたとおり、
インデックス投資
- 理論的な最大パフォーマンスを追求したい!
- 出口以外は手間を掛けたくない!
- 買いのタイミングで悩みたくない!
高配当株投資
- キャッシュフローが欲しい!
- 心理的な安心感・投資効果の実感が欲しい!
- 企業分析とか好き!投資戦略を考えるのおもしろい!
- 売りのタイミングで悩みたくない!
ということになるのかな、と思います。
私はどうしているか:両方やってます!
では、「そう言う自分はどうしているのか」と言いますと、
両方やってます。
以前の記事で述べたとおり、SPYDを中心にした高配当株投資もやってます。
一方で、つみたてNISAと企業型DC(確定拠出型年金)では、
全世界株式を対象としたインデックス投資をしています。
「意図的にそうしている」というよりは、
「税制面でお得な制度を使いつつ、面白そうな投資スタイルを模索したらこうなった」という次第です。
ただ、個人的には精神面の安定を期待できる高配当株投資の方に、
重心を置いていくつもりです。
どっち付かずで中途半端に終わることは避けなければいけませんが、
別にどちらか一方に決めなくてはいけないわけではありません。
両方の経験を得られるのは、今後の投資人生にプラスなのではと、気楽に考えています。
皆様におかれましても、自分に合った投資スタイルが見つかることを願っております。
最後に、簡単に参考書籍をご紹介します。
私が最初に買った投資本です。
よく名著として薦められる『ウォール街のランダムウォーカー』よりもライトな内容ですので、とっつきやすいと思います。
本記事でも書いたとおり、単純な経済合理性だけではなくて、心理的な要素も投資においては大切だと考えています。
ただ難しいのは、「自身の心地よさを大切にすることと、安きに流れることを区別する」という点です。
これを区別するために、行動経済学の観点から自身が持っているバイアスを知っておくのも良いと思います。
投資というよりはトレードになってしまいますが、この本を読むと「方法論は百人百様、自分に合った方法が一番」ということがよくわかります。
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